軽井沢ウイスキーの種類や味わい・おすすめの飲み方などを徹底解説

ウイスキー 軽井沢

ウイスキー軽井沢とは、世界で最も入手困難と言われているウイスキーです。

現在は、製造元の軽井沢蒸留所がすでに閉鎖されており、オフィシャルボトルのニューリリースはもうなく、わずかなボトラーズボトルのみ流通しています。

そのため、大変希少性が高く海外のオークションでは天文学的な価格で取引されています。

世界中のコレクターがこぞって探し求める幻の銘柄である軽井沢について解説していきます。

目次

ウイスキー「軽井沢」とは

ウイスキー軽井沢とは、軽井沢蒸留所で製造されていた国産初の100%モルトウイスキーです。

軽井沢蒸留所の稼働開始は1956年のこと、それから20年を経て、国産初の100%モルトウイスキーが「軽井沢」の名前で発売されたのが1976年です。

価格は当時としては破格の1万5千円。

決してお手頃ではない高級ウイスキーとして売り出されましたが、軽井沢の品質はすぐに世間に認められ、1カ月で1000本を売り切りました。

その後、様々なボトルをリリース。

2001年にはIWSC・ワールドウイスキーの部で「軽井沢12年」が金賞を受賞、「軽井沢15年、17年、21年」が銀賞を受賞しています。

約1,400万円!驚きの落札価格

2015年8月、香港で開催されたオークションにて「軽井沢 1960年」が91万8750香港ドル、日本円で約1430万円で落札されました。

日本製のシングルモルトウイスキーとしては世界のオークション史上最高額です。

元々の発売価格が200万円と高価なものでしたが、ジャパニーズウイスキーの注目度の高さが非常によく表れている出来事といえます。

軽井沢というブランドのウイスキーが「世界で最も入手困難」と位置づけられているのにも納得ですね。

さらに、ウイスキーマガジンのオークション指標で、8年間首位の座を守り続けた「ザ・マッカラン」を抜き、世界トップの評価を得たことも大きな話題となりました。

ウイスキー「軽井沢」のおすすめの飲み方

ウイスキー ストレート

軽井沢ウイスキーは、ストレートで飲むのがおすすめです。

軽井沢を口にするチャンスはなかなかありませんから、そのままの深い味わいをじっくりと堪能してください。

価格はシングルのストレートで3万円ほどすることもあります。

独特のクセとも感じられる風味は、水割りとの相性も良いです。

ウイスキー「軽井沢」の種類

ウイスキーの基本的な飲み進め方は、同じ銘柄で異なる年代の種類を飲み比べていきます。

(縦飲み、垂直飲みといいます。)

理由としては、同じ銘柄であれば味やテイストの傾向が共通しており、比べたときにより違いがわかりやすいため自分の好みに合った年代を見つけやすいからです。

軽井沢 シングルモルト 15年

軽井沢 シングルモルト 15年

軽井沢 シングルモルト 15年は、昭和43年酒という最高酒齢31年の古酒をはじめ、貯蔵15年までの長期貯蔵のシェリー樽熟成原酒をメインにヴァッティングしたシングルモルトウイスキーです。

長期熟成ならではの深い味わいと、ルビーを思わせる色合いが特徴とされています。

2004年、インターナショナル・スピリッツ・チャレンジで金賞を受賞。

軽井沢 シングルモルト 15年
created by Rinker

軽井沢 シングルモルト 17年

軽井沢 シングルモルト 17年

軽井沢 シングルモルト17年は、1976年に国産初の100%モルトウイスキーとして発売された時のままのフォルムが特徴的なボトルです。

当時の原酒である樽熟31年古酒と貯蔵17年に至る暦年の原酒をヴァッティングしたシングルモルトウイスキー。

貴重な長期熟成原酒ならではの、穏やかでやわらかく、ゆったりとした味わいを堪能できます。

2004年、インターナショナル・スピリッツ・チャレンジで金賞を受賞。

軽井沢 シングルモルト 17年
created by Rinker

軽井沢 ピュアモルト 12年

軽井沢 ピュアモルト 12年

軽井沢ピュアモルト12年は、軽井沢17年・15年の深い味わいをベースに、より飲みやすさを追求したボトルです。

最高酒齢31年~12年に至る長期熟成原酒をメインとして、個性豊かな数々のモルト原酒をヴァッティングしています。

こちらは複数の蒸留所の原酒を組み合わせたピュアモルトウイスキーです。

飲みやすい口当たりと数多くの原酒を加えた複雑で豊かな味わいが特徴。

2001年、インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティションのワールドワイドウイスキー部門で金賞を受賞。

軽井沢 ピュアモルト 12年
created by Rinker

軽井沢 マスターズブレンド 10年

軽井沢 マスターズブレンド 10年

軽井沢マスターズブレンド 10年は、軽井沢蒸留所の貴重な10年以上の貯蔵モルト原酒をベースに、グレーン原酒をブレンドしたブレンデッドウイスキーです。

熟練した蒸留所のブレンドマスターがブレンドを手掛け、10年以上の貯蔵モルトの個性が最大限に引き出されています。

輸入原酒から来ているであろうピーティーさと、軽井沢のシェリー樽由来の香りのハーモニーが絶妙。

2002年、インターナショナル・ワイン・アンド・スピリッツ・コンペティションのワールドワイドウイスキー部門で金賞を受賞。

軽井沢 マスターズブレンド 10年
created by Rinker

軽井沢 ヴィンテージ

軽井沢 ヴィンテージ

軽井沢ヴィンテージは、蒸留所の隣にあった「メルシャン軽井沢美術館」のショップで限定販売されていたボトルです。

軽井沢ヴィンテージ1999/2000
created by Rinker

軽井沢 1960年

軽井沢 1960年

軽井沢1960年は、過去に二度、発売されているボトルです。

一度目は1993年の皇太子さまご成婚の記念ボトルとして、二度目は2013年に、閉鎖後の軽井沢蒸留所の在庫を買い取った英国のナンバーワン・ドリンクス・カンパニーが製品化し、発売されました。

二度目の発売の際は、破格の超高級ウイスキーとして知られており、発売価格はなんと税別200万円

それもそのはず、ナンバーワン・ドリンクス・カンパニーが買い取った樽の中でも最も古い樽である1960年の樽一つのみから瓶詰めした41本のみの限定リリース。

熟成年数52年のシングルカスクで、この世に41本しかない商品となれば、200万円も納得です。

この52年という年数は発売当時、ジャパニーズウイスキー史上最も熟成期間が長く、200万円という価格は最も高い発売価格でした。

海外のオークションにおいて1本1300万円を超える価格で取引されていることでも有名です。

軽井沢 1960年
created by Rinker

ウイスキー「軽井沢」の歴史

オーシャンウイスキー ホワイトシップ

軽井沢のルーツには「オーシャン・ウイスキー」があります。

オーシャン・ウイスキーは、戦後、サントリー・ニッカと並んで国産ウイスキーの三大ブランドであった銘柄です。

製造・販売していた大黒葡萄酒株式会社は、元々ワインの製造をメインとしていた企業でしたが、戦後の進駐軍の駐留による国産ウイスキーの需要増大を受け、ウイスキー作りに本格的に参入しました。

1952年、塩尻工場でモルトウイスキーの原酒の製造を開始、ウイスキー人気が高まる中、さらに本格的なウイスキー作りに取り組むべく、1955年には軽井沢蒸留所を新設します。

1961年「オーシャン」に社名変更。

また、翌年の1962年には三楽酒造に吸収合併され「三楽オーシャン株式会社」となります。

そしてその三楽オーシャンから1976年に国産初の100%モルトウイスキーとして発売されたのが「オーシャン 軽井沢」です。

三楽オーシャンはのちに「三楽株式会社」、1990年に「メルシャン株式会社」と社名を変更します。

ところが、90年代半ばを過ぎると軽井沢蒸留所でのウイスキー作りは徐々に衰退していきました。

2000年12月31日をもって、公式なスピリッツの生産は終了。

2007年にメルシャンがキリングループの傘下となると、軽井沢蒸留所はグループ内の事業再編の対象になり、2012年に完全閉鎖。

スピリッツの生産が終了した後は、スタッフ達がシングルカスクウイスキーを手で瓶詰めし、2012年の閉鎖まで販売されていました。

その後、ストックされていた原酒は全て売り払われ、本場スコットランドなど世界各地のボトラーの手に渡り、限定リリースが僅かにあるのみです。

オフィシャルボトルのリリースはもうあり得ないからこそ、軽井沢の希少価値は高くなっています。

軽井沢蒸留所

軽井沢 蒸留所

出典:Togabi

大手国内ワインメーカー「メルシャン」のルーツの一つである「大黒葡萄酒」がウイスキーの製造に本格的に取り組むため、浅間山の麓に建てたのが軽井沢蒸留所です。

1956年2月、大黒葡萄酒(株)軽井沢工場として創業、モルトウイスキーの生産をスタート。

2007年にメルシャンがキリングループに買収されると、軽井沢蒸留所は事業再編の対象となり、2012年に惜しまれつつも完全閉鎖となりました。

その跡地は今、長野県御代田町の町役場の新庁舎となっています。

軽井沢蒸留所は比較的小型のポットスチルが4基という小さな蒸留所でした。

小さいながらも、ゴールデンプロミス種の麦芽とシェリー樽熟成にこだわり、浅間山の伏流水を使用して丁寧に蒸留。

蔦に覆われた貯蔵庫は世界的にも珍しく、この蔦が貯蔵庫内の温度と湿度を一定に保つ役割を果たし、ウイスキーにとって理想の環境を生み出していたと言われています。

また、新たな蒸留所の設立にあたって軽井沢という土地が選ばれたのも、ウイスキー作りに最適な自然環境を求めてのことです。

ちなみに閉鎖後、設備のほとんどは老朽化により使用不可となってしまいましたが、英国製モルトミルと蒸留機3号機は修理ののち「ガイアフロー静岡蒸留所」で今も活躍しています。

ウイスキー「軽井沢」の製法

軽井沢 蒸留所 製法

元々の塩尻工場から新設の軽井沢蒸留所へウイスキー原酒の製造が移管された大きな理由は、やはり軽井沢の自然環境です。

大黒葡萄酒が軽井沢にぶどう園を持っていたことが候補地となった要因ではありますが、調査を進めるうちに、澄んだ空気・冷涼で湿度の高い気候・豊富な浅間山の伏流水がウイスキー作りに最適であることが分かってきたのです。

本場スコットランドに非常によく似た軽井沢の気候・風土がなければ「ウイスキー 軽井沢」は生まれなかったでしょう。

また、こだわりは立地だけでなく、原料や樽、設備の一つ一つにも及びます。

大麦はゴールデンプロミス種、木桶発酵槽にはオレゴンパイン、熟成樽はシェリー樽という徹底したこだわり。

小型の単式蒸留器を使っているのもこだわりからで、小型の方が酒質がいいとされているからです。

まさに量より質を最優先にしたウイスキー作り。

そして、軽井沢蒸留所のトレードマーク・蔦に覆われた貯蔵庫は極端な温度変化から原酒を守ってくれます。

軽井沢という土地、職人たちの情熱、こだわり。

これら全てが、今日の軽井沢というブランドの価値を作り上げたと言っても過言ではありません。

まとめ

軽井沢というウイスキーについて詳しくなれたのではないでしょうか?

果たしてこの先、軽井沢のプレミア価格はどこまで上昇するのか気になるところではあります。

ウイスキーファンなら一度は味わってみたい、幻の銘柄です。

このページをシェアする
目次