ロッホローモンドは、スコットランドで作られているシングルモルト・ウイスキーです。
この記事ではロッホローモンドの味わいや香りの特徴、歴史や製造方法などを紹介します。
おすすめの飲み方や種類ごとの特徴を掲載しているほか、記事の最後にはロッホローモンドがお好きな方におすすめのウイスキーの提案なども行っています。
是非ウイスキー選びの参考にしてみてください。
ロッホローモンドの特徴・概要
ロッホローモンドは、スコットランドにある「ロッホローモンドグループ」から販売されているシングルモルト・ウイスキーです。
ラムサール条約の登録地として知られているスコットランド最大の淡水湖「ローモンド湖」の岬である「アレクサンドリア」に蒸留所は位置しています。
このローモンド湖とリーヴン川の水を使い、ロッホローモンドは生み出されているのです。
味の特徴
ロッホローモンドはバニラの甘みの中にハーブ感を感じられる、独特な味わいが特徴的なウイスキーです。
甘さの中にもレモングラスやショウガを彷彿とさせる引き締め要素が見られるため、複雑かつ完成度が高いウイスキーであると称賛されています。
また、加水によりヘーゼルナッツやメープルシロップのような甘みが引き立つことも特徴のひとつです。
香りの特徴
ロッホローモンドの香りはスコッチとしては独特であり、白ワインのようなフルーツ香をベースとした中に、湿り気のある土っぽさが感じられます。
クリームチーズのコクや黒胡椒のようなピリッとしたニュアンス、オリーブのような植物香もあり、複雑な香りが調和し混ざりあったイスキーであるといえます。
喉ごし・フィニッシュの特徴
オイリーでアイリッシュ・ウイスキーを彷彿とさせる喉ごしや口当たりが、ロッホローモンドの特徴です。
アタックはややドライでスパイシーですが、フィニッシュに近づくにつれてバニラの甘さやケミカルなフルーツ香が顔を出していきます。
余韻には苦みと軽いピート感があり、喉に張り付くようなスパイシーな刺激を伴いつつ長く続きます。
ロッホローモンドのおすすめの飲み方は「ストレート」「トワイスアップ」
ロッホローモンドのおすすめの飲み方は「ストレート」「トワイスアップ」です。
このウイスキーの濃厚でオイリーなテスクチャと、ケミカル感のある独特なフルーツの香味を味わうにはストレートが最適だといえます。
しかし飲みやすいとは言えど、ロッホローモンドはやや人を選ぶ味わいのウイスキーです。
ストレートで飲みにくいと感じた方や、ウイスキー初心者には甘さが引き立ち飲みやすくなる「トワイスアップ」をおすすめします。
ロッホローモンドの種類
ここではロッホローモンドの種類を紹介しています。
現在主に販売されているロッホローモンドはノンエイジ品3種・エイジ品8種・全米オープンゴルフ記念ボトルの計12種です。
ロッホローモンドのノンエイジ品3種
ノンエイジ品はブレンダーの個性や力量が最も問われる、世代を超えたヴァッティングが可能なボトルの総称です。
ここではロッホローモンドのノンエイジ品3種を紹介しています。
ロッホローモンド クラシック
ロッホローモンドの中でも最もスタンダードなボトルです。
自社所有のローモンドスチルとポットスチル出蒸留した原酒をオーク樽で熟成しボトリングしています。
ほのかなピート感とオイリーな喉ごし、独特なケミカル感のあるフルーツ香が特徴のウイスキーです。
ロッホローモンド シングルグレーン
「ロッホローモンド シングルグレーン」は、原料にモルトのみを使い、希少なカフェスチルで蒸留を行ったロッホローモンドの上級ボトルです。
口に含むと赤リンゴを彷彿とさせるふくよかで華やかな甘みと、ほんのりとしたバニラ香が優しく香ります。
ロッホローモンド シングルグレーン・ピーテッド
「ロッホローモンド シングルグレーン・ピーテッド」は原料にピート感が強いモルトを使い、希少なカフェスチルで蒸留を行ったボトルです。
赤リンゴを思わせるフレッシュな香りのあとには、ピート感のある余韻が心地よくやわらかに口の中へ広がります。
ピーテッドウイスキーとしては珍しく、飲み心地は華やかで優しい仕上がりです。
ロッホローモンドのエイジ品8種
エイジ品は同じ世代以上のウイスキーのみをブレンドして作られた、味の均一化がはかられているボトルの総称です。
ここではロッホローモンドのエイジ品8種を紹介しています。
ロッホローモンド 12年
「ロッホローモンド 12年」は通常の原酒とピート香のある原酒を、アメリカンオーク・リチャー・バーボンの3種の樽で12年熟成し、ヴァッティングしたボトルです。
樽由来のバニラ香や熟した桃や洋ナシのようなフルーティーな味わいが、絶妙な比率で感じられるバランスの良いウイスキーです。
ロッホローモンド インチモーン12年
「ロッホローモンド インチモーン12年」はスワンネックスチルとローモンドスチルで蒸留した原酒を、リチャー樽・アメリカンオーク樽でそれぞれ熟成しヴァッティングしたボトルです。
心地よいバニラとピーテッド感がありつつ、スモーキーで刺激的な味わいがある様々な顔を持つウイスキーです。
ロッホローモンド インチマリン12年
「ロッホローモンド インチマリン12年」はバーボン・アメリカンオーク・リチャーの3種の樽で熟成した原酒をヴァッティングしたボトルです。
このボトルはマスターブレンダーである「ビル・ホワイト」氏がヴァッティングを手がけています。
アプリコットや桃、バニラ香のあるクリームキャラメルといった甘くフルーティーなニュアンスの味わいと、余韻に香る黒胡椒のようなスパイシーな香りが爽やかな夏を彷彿とさせるウイスキーです。
ロッホローモンド18年
「ロッホローモンド18年」はマスタークーパーである「トミー・ウォレス」氏が選び抜いた最高級オーク樽にて、18年熟成されたボトルです。
樽由来の甘みやオーク感が強く現れ、フルボディでありながら上品な味わいに仕上がっています。
青リンゴやグレープフルーツのようなフルーティーさとピート感、スモーク香が絶妙に絡み合った大人の味わいが魅力のウイスキーです。
ロッホローモンド21年
「ロッホローモンド21年」は、特殊なストレートネックポットスチルのみで蒸留した原酒を使用したボトルです。
ロッホローモンド蒸留所の象徴ともいえるこのポットスチルで蒸留された原酒は、マスターブレンダーによってリフィル樽で熟成された2種のピーテッドモルト原酒とヴァッティングされます。
フルーティーさとスモーキーな味わいを兼ね備えている、ロッホローモンド蒸留所の真骨頂ともいえる魅力が詰まったウイスキーです。
ロッホローモンド30年
「ロッホローモンド30年」は特殊なストレートネックポットスチルのみで蒸留した原酒を使用したボトルです。
アメリカンオーク樽で熟成したノンピートモルト原酒の半分を、オロロソシェリー樽にて2年間後熟させマリッジングするという、複雑な製造過程をたどっています。
30年熟成されたロッホローモンド特有のフルーティーさが、後熟樽にてさらに強められた華やかで濃厚なウイスキーです。
ロッホローモンド50年
「ロッホローモンド50年」は世界でたった60本のみしかボトリングされていない、1967年製のオールド原酒を使ったプレミアムボトルです。
アメリカンオーク樽で熟成した原酒を、ヨーロピアンオーク樽でさらに後熟させる製法で作られています。
非常に希少価値が高く入手困難なボトルで、テイスティングについても国内では記述はなく、その味わいは謎に包まれています。
ロッホローモンド12年 全英オープンゴルフ2020 スペシャルエディション
「ロッホローモンド12年 全英オープンゴルフ2020 スペシャルエディション」は、全英ゴルフトーナメントの開催を記念して作られた限定ボトルです。
特殊なストレートネックポットスチルのみで蒸留した原酒を、シャルドネ酵母で発酵させたのちにアメリカンオーク樽で熟成させています。
ロッホローモンドが持つフルーツ感をさらに華やかにした味わいが特徴あるウイスキーですが、現在完売しているため入手は困難です。
ロッホローモンド蒸留所の歴史
ロッホローモンド蒸留所は、1814年に現在の場所とは異なるローモンド湖の北端「ターバート」に創設されました。
蒸留所の創立当時は複数の蒸留器は保有しておらず、ロッホローモンド蒸留所のトレードマークとされるストレートネックのポットスチル1基のみで蒸留を行っていました。
一時は閉鎖されてしまったロッホローモンド蒸留所ですが、1966年に現在の場所へと移転し、蒸留を再開させます。
再び1984年に再び蒸留所は閉鎖となってしまいますが、1987年に現在の所有者である「アレクサンダー・ブロッホ&グレンカトリン社」が経営権を買収したことによって、蒸留所でのウイスキーの生産は再開されました。
これを皮切りにロッホローモンド蒸留所は様々な改革を行い始めます。
1994年にはグレーンウイスキー蒸留所と自社所有の樽工場を新設し、1999年には玉ねぎ型のポットスチル、2007年には連続式蒸留が可能なカフェスチルを導入しました。
様々な設備や蒸留器を充実させた結果、ロッホローモンド蒸留所は蒸留から樽詰めに至るまで様々なカスタマイズを行える組織へと成長します。
ロッホローモンド蒸留所の最大の転機は、2014年に訪れました。
現オーナーがキャンベルタウンにある「グレンスコシア蒸留所」と共にロッホローモンド蒸留所を買い取り、新たに「ロッホローモンドグループ」を設立したのです。
これによりウイスキーの生産から人員面までありとあらゆるブランドが刷新され、2016年に現在のロッホローモンドが誕生しました。
現行ラインナップでリニューアル後のロッホローモンドを味わうことができるのは若い原酒を使ったボトルであり、旧世代の味わいを楽しめるのは21~50年のボトルのみです。
ロッホローモンドの製法
ロッホローモンドはボトルごとに様々な蒸留法や原料、樽の使用が行われているウイスキーです。
蒸留所の敷地内には「ストレートネックスチル」「伝統的な玉ねぎ型スチル」「連続式カフェスチル」の3種6基の蒸留器を保有しています。
ロッホローモンドグループは異なる蒸留器から様々なスタイルを持つ原酒を作り出し、適切にヴァッティングすることで次々と個性的で深みのある味わいを持ったウイスキーを作ることに成功しています。
1994年には敷地内に自社所有の樽工場をオープンさせ、後熟やマリッジングに最適な樽を蒸留所にて生産できるようになりました。
様々な樽や蒸留器の使い分けが可能な環境に加え、優秀なマスター・ブレンダーが在中しているロッホローモンドグループは、非常にウイスキーに精通した企業だといえます。
ロッホローモンド好きにおすすめウイスキー
ここではロッホローモンドがお好きな方におすすめのウイスキーを2つ紹介します。
ロッホローモンド蒸留所で作られている個性あるウイスキーを主に取り揃えたので、ロッホローモンドのような味わいのウイスキーをお探しの際には、是非参考にしてみてください。
リトルミル25年
ロッホローモンドと同じ敷地内にて稼働していた「リトルミル蒸留所」の「リトルミル25年」も、ロッホローモンド好きにはおすすめです。
エキゾチックでケミカル感のあるフルーツ香や、甘くフルーティーかつややビターな味わいがあるリトルミル25年は、ロッホローモンドに近いニュアンスのウイスキーとなっています。
蒸留所の閉鎖によりリリースが残り僅かなボトルであり、現在は入手困難です。
クロフテンギア10年
「ロッホローモンド インチマリン」のような爽やかかつスパイシーな夏を彷彿とさせるボトルをお探しの方には、同じ蒸留所で作られた「クロフテンギア10年」もおすすめです。
シトラスやパインを思わせる爽やかな香りと甘さの中に、黒胡椒のようなピリッとしたスパイシーさが香ります。
角がなく柔らかいピート感とスムースさがあり、とても飲みやすいウイスキーです。
まとめ
この記事ではの「ロッホローモンドグループ」から販売されている、ロッホローモンドを紹介しました。
様々な個性あるラインナップの中からお気に入りを探せる、多様性あるこのウイスキーが気になった方は是非ご賞味されてみてください。