ダルユーインはスコットランド・マレー、キャロンの東にある蒸溜所で造られるスペイサイドモルトです。
この記事ではダルユーインの種類や味わい、おすすめの飲み方などウイスキー初心者の方でも分かりやすく紹介しています。
ぜひ、ご覧になってください。
ダルユーインの特徴・概要
ダルユーインはオフィシャルでのボトルリリースがないため有名なウイスキーではないですが、ブレンデッドウイスキー「ジョニー・ウォーカー」のキーモルトとして知られています。
ダルユーインの味・香りの特徴
ダルユーインの味や香りの特徴として挙げられるのが「フルーティで濃厚なアロマ」「ふくよかで力強いフレーバー」です。
その中でも「ダルユーイン21年 ロウカスク」では、レモンのような柑橘系の爽やかな香りと、完熟した洋梨のフルーティな香り、モルティーさとシリアルの香ばしい香りが楽しめます。
飲み口はアルコールが56.7%と強めなためドライでピリピリとした強いアルコール感、飲み進めるとラズベリーのようなベリー系の酸味とウッディーさが感じられ飲みごたえのあるボトルです。
自前の蒸気機関車で運営を軌道に乗せた
ダルユーイン蒸溜所はスペイサイド地方のキャロン村、ベンリネス山とスペイ川に挟まれた場所にあります。
元々は鉄道がなかった地域でしたが、スペイ川の対岸にストラススペイ鉄道
が開通。自分の敷地内に引き込み線を引くことで鉄道を利用できるようにしました。
さらに自前で蒸気機関車を用意しウイスキーや原料の輸送を行うことで効率よく運営を回し軌道に乗せたと言われています。
ダルユーインのおすすめの飲み方は「トワイスアップ」
ダルユーインはアルコールが50%越えのボトルで強いアルコール感からヒリヒリとしたスパイシーな味わいを楽しめます。
そこを初心者でも飲みやすくするため常温の水で1:1で割る「トワイスアップ」をおすすめします。
加水によりアルコールを抑えることで、ダルユーインの香りが増し、スパイシーさが和らぐため飲みやすくなり、レモンのような爽やかな柑橘系の香り、洋梨や白葡萄のようなフルーティな甘さが際立ち、美味しく飲むことができます。
ダルユーインの種類
ダルユーイン16年 オフィシャル 花と動物シリーズ
ダルユーイン16年、花と動物シリーズは昔のオフィシャルボトルです。
シェリー樽熟成から醸し出される完熟したプラム、オレンジなどの柑橘系の香り、紅茶やモルティーさなどが感じられます。
飲むと少しとろみが感じられ、カラメルソースの甘み、ナッティ、ピート感もあり多彩なフレーバーが楽しめます。
ダルユーイン21年 シェリーホグスヘッド ザ・シングルカスク 1997
ダルユーインの「ザ・シングルカスク」から出されたボトルで、「ザ・シングルカスク」は2010年にロンドンで立ち上げられたインディペンデントボトラーです。
リンゴ、白葡萄、シロップ漬けの白桃など完熟したフルーツの芳醇な香り、ワインのような濃厚なアロマ、焦がしキャラメルの香ばしさが広がります。
味わいはフルーティさとスパイシーさが際立ち、シナモン、アップルコンポート、リンゴジャムの風味とウッディさ、ミルキーなトフィ、黒茶の風味も相まって優雅なテイストが楽しめるボトルです。
ダルユーイン 21年 DLオールドパティキュラー 1998
このダルユーインはリフィルホグスヘッドで熟成された21年もののボトルです。
ダルユーインの特徴であるスパイシーさを存分に引き出し、オークの香ばしさ、リンゴやイチゴのフルーティさ、ビターなチョコレートの香りが楽しめます。
味わいはスパイシーなシナモンにバニラクリーム、イチゴジャム、香ばしいビスケットが感じられ、後からモルティさも現れ長い余韻が残ります。
ダルユーイン蒸留所の歴史
ダルユーイン蒸溜所は1852年、スコットランド・マレー、キャロンの東で、この土地の農夫をしていたウィリアム・マッケンジー氏により設立されました。
1865年に設立者であるウィリアム・マッケンジー氏が死去してからは、ジェイムズ・フレミング氏に蒸留所はリースされました。
1879年にはウィリアムの息子であるトーマス・マッケンジー氏がフレミング氏と共に「マッケンジー社」を立ち上げダルユーイン蒸溜所の共同経営を開始します。
その後1881年にはスカイ島のタリスカーと合併し、「ダルユーイン・タリスカー蒸溜所」を設立。
さらにダルユーインの第二蒸溜所としてスペイ川の対岸に「インペリアル蒸溜所」、アバディーンに「グレーン蒸溜所」も建設しました。
1884年から1889年にかけ蒸溜所を改築。チャールズ・ドイグ氏の設計により近代化を図り、「スコットランド初のパゴタ屋根」を採用した蒸溜所になりました。
1891年に組織名を「ダルユーイン・グレンリベット・ディスティラリー」に変更。
1898年にはタリスカー、インペリアルと合併し「ダルユーイン・タリスカー・ディスティラーズ」を組織します。
1915年、ウィリアム氏の息子である、トーマス・マッケンジー氏が死去。翌年、ダルユーイン・タリスカーはジョン・ウォーカー&サンズ、デュワーズ、DCLなどが組織したコンソーシアム(共同事業体、協会)に買収されました。
1917年、蒸溜所で火災が発生し要であったパゴタ屋根を失ったため生産の停止を余儀なくされましたが、3年後の1920年に新築された建物で生産を再開しました。
1925年、DCLがコンソーシアム内の会社を吸収したためダルユーインはDCL、現在のディアジオ(UDV社)の傘下になりました。
1959年には再び蒸溜所で火災が発生。これを期に蒸溜所の大改修を実施し、翌年にはスチルを2基増設、フロアモルティングをサラディンボックスに変更するなど設備を強化しました。
1965年に動力を蒸気機関に変更し、1983年には蒸溜所でのモルティングを廃止。
2012年には蒸溜所設備をさらに拡張し生産能力を25%増強、現在に至ります。
ダルユーインの製法
ダルユーイン蒸溜所の設備などは以下の通りです。
- 発酵槽:オレゴン松製6基
- 蒸溜器:初溜釜3基、再溜釜3基
- 仕込み水:バリームーリック川から
蒸溜器はランタンヘッド型とストレートヘッド型を採用しています。
フルーティで濃厚なアロマ、ふくよかで力強いフレーバーが味わえるモルトが生まれる要因となっています。
ダルユーイン好きにおすすめのウイスキー
ダルユーインが気に入ったのなら同じスペイサイドモルトを試してみてはいかがでしょうか。
さらにダルユーインをキーモルトとして使用したウイスキーも合わせておすすめします。
ジョニーウォーカーブラックラベル12年
世界で最も売れているウイスキーと言われるのがジョニーウォーカーです。
タリスカーやダルユーインをはじめ29ものシングルモルトをブレンドしたブラックラベルは定番中の定番と言えるでしょう。
スモーキーな香りがはじめに広がり、後からフレッシュな青リンゴ、シェリー樽の香りが感じられます。
飲み口はなめらかで飲みやすく、バニラの甘み、オレンジやレーズンのフルーティな甘みが通り抜け、スモーキーさと相まって心地よい余韻が楽しめるウイスキーです。
カーデュ12年
カーデュはダルユーインと同じスペイサイドモルトで、さらにジョニーウォーカーのキーモルトの一つです。
ラムレーズンの香りがフワッと広がり、フルーティでエステリーさもある香りが特徴です。
トーストのような香ばしさ、青リンゴや梨の風味も感じられ、酸味とビターさが残る味わいになっています。
まとめ
スペイサイドモルト、ダルユーインを紹介しました。
オフィシャルとしてはあまり市場に出回ることのないウイスキーですが、様々なボトラーズからリリースされています。
スペイサイドモルトの特徴であるフレッシュでフルーティ香りと味わいを堪能できるボトルですので、バーなどで見かけた際はぜひ飲んでみてください。