ポートエレンは、アイラ島にあったポートエレン蒸留所が1983年に閉鎖されてしまったこともあり、幻のウイスキーとも呼ばれています。
この記事では、ポートエレンの味わいや特徴、歴史、製造方法などを紹介します。
記事の最後には、ポートエレンが好きな方におすすめのウイスキーも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
ポートエレンの特徴・概要
ポートエレンは、1983年までアイラ島で生産されていたシングルモルトです。
1980年代は、カクテルなどが人気となりスコッチウイスキーの人気が低迷してしまったため、蒸留所が閉鎖してしまいました。
蒸留所が閉鎖となった後も、残った原酒などを本数限定で販売。
しかし、あまりの人気やスコットランドへ観光客を集める目的のため、2020年に蒸留所を再稼働させるとの発表が2017年にありました。
そのため、現在ウイスキー界で注目を浴びているウイスキーです。
味・香りの特徴
ポートエレンは、アイラモルトらしいスモーキーでピーティな味わい、華やかな香味が特徴です。
独特な風味が特徴的なポートエレンは、非常に人気で蒸留所が閉鎖されてからは稀少価値が高まり幻のウイスキーと呼ばれています。
ポートエレンが幻のウイスキーと呼ばれる理由
ポートエレンが幻のウイスキーと呼ばれる理由は、品質の高さと本数の少なさ、熟成年数の長さによる高額での販売です。
ポートエレン蒸留所では、どこの蒸留所よりもいち早く技術を取り入れたことにより品質が高く人気も高いシングルモルトウイスキーでした。
しかし、ウイスキーの人気低迷により蒸留所を閉鎖。
蒸留所を閉鎖した後は、残った原酒を本数限定でいくつかの会社から販売されていました。元々人気のあるウイスキーで熱狂的なファンもいたため、すぐに売り切れていました。
また、熟成年数の長さも相まって年々価値が高まったことにより、幻のウイスキーと呼ばれるようになりました。
ポートエレンのおすすめの飲み方はストレート・ロック
ポートエレンは、ストレートもしくはロックでの飲み方がおすすめです。
ストレートで飲むと、アイラモルトらしいスモーキーでピーティな風味を感じます。しかし、その中には甘い味わいや華やかな風味も感じます。
ロックで飲むと水分が加わることにより、まろやかな風味となり香りや味わいがより一層際立ちます。
ピート香が苦手な方は、加水やロックスタイルでの飲み方がおすすめです。
稀少な銘柄なため、まずはストレートからお楽しみください。
ポートエレンの種類
ポートエレンのボトルはさまざまな蒸留所からリリースされており、オフィシャルからはスペシャルリリースとして本数限定で販売されています。
しかし、再稼働に向けて現在はスペシャルリリースの販売は中止となっています。
ポートエレン22年 1stリリース 1979
ポートエレン 22年 1stリリース 1979は、ポートエレン蒸留所で1979年に蒸留され、6000本限定で販売されました。
6000本のボトルそれぞれにボトルナンバーが記載されるなど、人気の高いボトルです。
香りは、上品でライトなフルーツや干し草を思わせるようなスモーキーな香り。
味わいは、ライトなフルーティの甘みや酸味、塩気、ピート香をの味わいです。
オイリーで塩気のある味わいが特徴的で、リッチな気分にさせてくれるバランスの取れた風味です。
アイラモルトらしいピート香やスモーキーな風味を味わえます。
ポートエレン24年 2ndリリース1978
ポートエレン 24年 2ndリリース1978は、1978年に蒸留され2002年にリミテッドエディションのセカンドリリースとして12000本限定で販売されました。
アイラ島の自然の恵みを味わえる贅沢なボトルです。
ドライでライトな飲み口で、アイラモルトらしい塩気やオイリーな風味、ピート香を感じます。
ポートエレン24年 3rdリリース 1979
ポートエレン 24年 3rdリリースは、3番目にスペシャルリリースされ、2003年に9000本限定でボトリングされました。
香りは、アルコールの刺激臭や塩気と、ピートの香りと刺激のある香りが特徴です。
味わいは、海水のような味わいやピリピリとした辛味があります。
シングルモルトウイスキーのカリラのような塩気とスパイシーな風味を味わえるボトルです。
ポートエレン25年 4thリリース 1978
ポートエレン 25年 4thリリース 1978は、1978年に蒸留し25年熟成、5100本限定で販売されました。
香りは、コーヒーやビターチョコレートを思わせる苦い風味を感じ、その後にワインのようなリッチな香りを感じます。
味わいは、最初に甘い風味を感じますが次第にフルーティな味わいに変わります。その後に、コーヒーやビターチョコレートのような苦へと変わり、最後はドライでスパイシーな味わいになります。
4thリリースのポートエレンは、苦みやドライでスパイシーな風味が特徴です。
ポートエレン30年 オールド&レア ダグラスレイン社
ポートエレン30年 オールド&レアは、ダグラスレイン社よりリリースされた30年熟成のボトルです。
スッキリとしたフルーティな香りで、メンソールのような爽快感やはちみつのような甘い風味を感じます。
味わいは、甘いピートの風味やスパイシーな刺激のある味わいを感じます。その後に、焚火の煙のようなドライでスモーキーな味わいが続きます。
とろみがありマイルドな口あたりで、キリっとした香りに比べ飲み口はマイルドとなっています。
ポートエレン30年 9thリリース 1978
ポートエレン30年 9thリリース 1978は、30年熟成で9番目にリリースされたボトルになります。
香りは、ミントのフレッシュな香りや海藻の塩気、オイリーで土っぽい香りを感じます。
味わいは、甘さ、塩気、辛み、スモーキーのバランスが取れた味わい。バニラの甘味から始まり、ミントのフレッシュな味わいやピーティーな味わいが続きます。
滑らかな甘い味わいが強く、塩気やスモーキーな風味は弱く最後にはドライでスパイシーな刺激がやってきます。
ポートエレン32年 11thリリース 1979
ポートエレン 32年 11thリリース 1979は、32年熟成で2011年に2988本限定で販売されました。
香りは、海風の潮の香りや燻した(いぶした)ピート香の香り。
味わいは、オイリーで塩気があり麦芽の芳醇な旨味が凝縮されています。
ギュッと凝縮された濃い風味が特徴です。
ポートエレン32年 15thリリース 1963
ポートエレン32年 15thリリース 1963は、1963年に蒸留され2015年に2963本限定で販売されました。
熟成樽は、ヨーロピアンオーク樽。
香りは、シナモンのスパスイスの香りやオレンジや洋ナシのようなフレッシュでフルーティな香り。次第にフルーツケーキやはちみつのような甘い香りへと変わり、最後にはピリッとした刺激のある香りになります。
味わいは、シナモンの甘さや柑橘系のフレッシュな味わいに加え、アイラモルト特有のピーティでスモーキーな風味が調和しています。
フレッシュな風味とアイラモルトらしいピーティでスモーキーな風味を楽しみたい方におすすめです。
ポートエレン37年 17thリリース 1979
ポートエレン37年は、37年熟成で2017年にボトリングされ2940本限定で販売されています。
香りは、最初は弱いかなと感じますが、次第に焚火の煙ようなスモークの香りやグレープフルーツなどのフルーティの香りを感じます。
味わいは、香りと同様に柔らかい口あたりから始まり、燻した麦芽やピートの風味を感じます。次に、はちみつや熟した洋ナシといった甘みやフレッシュでフルーティな味わいを感じます。
長期熟成になるほどレアなボトルとなるため、価格も50万近くで取引されています。
ポートエレン39年
ポートエレン 39年は、ポートエレン蒸留所よりオフィシャルボトルとして2019年に販売されました。
熟成樽は、稀少な樽の中からアメリカンオーク樽とヨーロピアンオーク樽のリフィル樽を厳選したもので熟成しています。
リフィル樽とは、バーボン樽やシェリー樽再々使用のことです。
香りは、ピート香のあとに刺激があり、メロンやサルタナの濃厚な果実の風味、ジンジャーエールやライムの香りを感じます。
味わいは、滑らかな舌触りで甘味や塩気、その後にスモーキーな味わい。
長期熟成由来の複雑でスパイシー、バランスの取れた余韻となっています。
長期熟成でオフィシャルからの販売ということで、価格は50万越えの548,000円です。
非常に高額なため手が出しづらいですが、ウイスキーファンなら何としても手に入れたいボトルです。
ポートエレンの蒸留所・歴史
ポートエレン蒸留所は、アイラ島のポート・エレンの町にありました。
蒸留所の名前は、当時のアイラ島の所有者であったウォルター・フレデリック・キャンベルの妻、エレノアの愛称「エレン」が由来となっています。
ポートエレン蒸留所は、地主のウォルター・フレデリック・キャンベルの支援もあり、アレクサンダー・マッカイが1824年に設立されました。
1836年にウォルター・フレデリック・キャンベルはジョン・ラムゼイとビジネスパートナーとなり、アイラ島とグレスゴーの間に定期航路を開設するなど、販路拡大に務めました。
1920年には、James Buchanan&John Dewar&Sonsに所有され、1925年に現ディアジア社であるDCLの傘下となります。
1930年に蒸留所は閉鎖となり、1967年には再稼働。
再稼働と同時に蒸留所を拡大し、ポートスチルは2基から4基に増設され初留釜2基、再留釜2基となりました。
しかし、1987年になるとスコッチウイスキーが不況となり再び閉鎖となります。当時は、ウイスキーの人気が低迷し、カクテルなどが流行りアイラモルトのようなクセの強いウイスキーは売れなくなりました。
しかし、アイラ島の他の蒸留所へモルトを供給するためにモルティング施設のみ現在も稼働しています。
2017年には、オールドボトルや原酒が残っているなどの理由により、2020年に蒸留所を再稼働させると発表しています。
ポートエレンの製造方法
ポートエレン蒸留所は、革新的な技術を取り入れたことで人気となった銘柄です。
例えば、今やどの蒸留所でも取り入れているスピリット・セーフをいち早く取り入れています。
スピリット・セーフとは、蒸留した原酒を管理を可能にするために、蒸留器から得たアルコール濃度を測定し、検査・管理するための窓付きで南京錠で鍵がされた密閉容器のことです。
この方法を取り入れたことによりポートエレンの品質は高く保ち、その品質の高さを評価されため人気となりました。
現在は、オフィシャルからの販売は行われていませんが、オークションサイトなどでは高額で取引されています。
ポートエレン好きにおすすめのウイスキー
ポートエレンが好きな方におすすめのウイスキーを紹介します。
ポートエレンが使用されているブレンデッドモルトを基準に選びました。
高価格となっているポートエレンが手に入らないという方は、価格が比較的安価なブレンデッドモルトをおすすめします。
ビッグピート
ビッグピートは、ダグラスレイン社からリリースされており、インパクトなデザインが特徴のブレンデッドウイスキーです。
ポートエレン1983の他に、アードベッグやカリラ、ボウモアの4種類のアイラモルトをヴァッティングしています。
そのため、正露丸のようなピーティーな風味が特徴です。
ボトルの蓋を開けた瞬間から強いピート香をや焚火のようなスモーキーな香りを感じます。
味わいは、やはりピートの味わいが強くラベルのおじさんのような顔になってしまいます。ピートの味わいの中には、バニラやレーズン、はちみつといった甘みも感じます。
ピーティーな風味が好きな方におすすめです。
ちなみに、ラベルのおじさんは「ピートおじさん」と呼ばれており、ダグラスレイン社の遊び心で描かれています。
ジョニーウォーカーブルーラベル
ジョニーウォーカーブルーラベルは、ブレンデッドモルトとしては少しお高い1万円越えですが、ジョニーウォーカーの中で最高峰のボトルと言われています。
ジョニーウォーカー・ブルーラベルは、1万樽にひと樽しかないと言われる40~50年の長期熟成させた選び抜かれた原酒のみでヴァッティングしています。
香りは、熟したリンゴの甘い香りやオレンジやライムなどの柑橘系のフルーティでフレッシュな香りを感じます。
味わいは、リンゴやはちみつ、レーズンの甘い味わいの後に、ピーティな風味とスモーキーな味わいが続きます。
年間で4000本しか販売されない稀少なボトルです。
まとめ
ポートエレンは、アイラ島で生産されているシングルモルトウイスキーです。
品質の高さを評価され、ファンの間では幻のウイスキーと呼ばれています。2020年を目途にポートエレン蒸留所が再稼働するということもあり、注目が集まっています。
高価格ではありますが、手に入れることができたらじっくりとお楽しみください。