ロングモーンはマッカランやグレンファークラスと並ぶトップドレッシングの一つとして知られ、ブレンダーの間で絶大な人気を誇るウイスキーです。
そんなロングモーンの種類や味わい、おすすめの飲み方なども交えながらその魅力をご紹介しますので、ぜひご参考ください。
ロングモーンの特徴・概要
ロングモーン蒸留所は多くの蒸留所が点在するスペイサイドにあり、1894年に創業された蒸留所です。
マンゴーのフルーティーな香りとトフィーのミルキーな香りが特徴です。
ジューシーな洋梨の風味、飲んだ後に残るアメリカンオークバレル由来のオーク香が織りなす味わいは格別です。
ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝氏が修行した蒸留所
ロングモーン蒸留所は日本との繋がりがある蒸留所としても有名です。
それはニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝氏がインターンとして働いていたからです。
伝統的な製法を学び、得た知識が後にジャパニーズウイスキーの基礎となったのは言うまでもありません。
ロングモーンはゲール語で「聖人モーガンの地」
ロングモーン蒸留所はエルギンの街からローゼス方面に向かったほど近い場所にあります。
この地には元々古い教会があり、それが名前の由来になったと言われています。
ロングモーンのおすすめの飲み方は「ストレート」
ロングモーンのおすすめの飲み方は「ストレート」です。
ロングモーンは濃厚でありながら、口当たりは軽く飲みやすいウイスキーです。
グラスで回しながらパッションフルーツや洋梨、ミルキーなトフィの香りを楽しみ、フルーティさとハチミツ、オークの香ばしい風味を堪能するなら何も加えないのがおすすめです。
ロングモーンの種類
ロングモーン16年
ロングモーン16年はノンチルフィルターでボトリングされたオフィシャルボトルです。
柑橘系の香りと洋梨、麦芽やオークの香ばしさ、バニラの甘い香りが特徴です。
ハチミツやココア、トフィ、シナモンのスパイシーな風味も楽しめ、濃厚で長い余韻が楽しめるシングルモルトです。
ロングモーン18年
ロングモーン18年はアメリカンオークバレルとホグスヘッドで熟成されたボトルです。
マンゴーのフルーティさ、クリーミーなトフィが織りなす滑らかな香りとジューシーな洋梨、アメリカンオークバレル由来のオークの風味が楽しめます。
ロングモーン23年
ロングモーン23年は2016年にボトリングされた23年熟成のスペシャルリリースです。
レモンクリームや洋梨のフルーティな甘い香りとジンジャーが織りなす心地よい香りが続きます。
味わいはミルクチョコレート、フルーティな洋梨の贅沢な甘みをジンジャーのスパイシーさが引き締め心地よい余韻が感じられ、長期熟成ならではの深い味わいが楽しめます。
ロングモーン ディスティラリーズチョイス
ロングモーン・ディスティラリーズチョイスは2016年に発売された新しいオフィシャルボトルです。
バーボン樽、シェリー樽、ホグスヘッド樽の3種の原酒を組み合わせて熟成されたものをボトリングしています。
ワインのようなブドウの香りとレモンの香りが先立ち、後からバニラやカラメル、紅茶、フローラル系の香りも感じられます。
飲み口はライト。香ばしい麦芽の風味、ほのかなキャラメルの甘さとレモンピールのようなほろ苦さが合わさり、比較的飲みやすいウイスキーです。
ロングモーンの歴史
ロングモーンは1983年にジョン・ダフによって創設されました。
ジョン・ダフは19世紀のウイスキー業界では個性的な人物として有名です。
彼はグレンドロナック蒸留所の所長を務め、1876年には新しい会社を設立してグレンロッシー蒸留所を創設。
南アフリカ、アメリカにもウイスキー蒸留所の設立を目指したが失敗し、その後スコットランドに戻りロングモーン蒸留所の設立に成功した経歴があります。
理想的なロケーションのロングモーン蒸留所が軌道に乗ってきたところで、
1898年に隣の敷地に第2のロングモーン蒸留所を建設しました。
ところが1898年に起こったパティソン事件(パティソン社の不正会計とウイスキー業界のブーム終焉でパティソン社が倒産した)によりスコッチウイスキー業界全体の信用が失墜したため、ジョン・ダフは破産に追い込まれることになります。
しかし、翌年の1899年にジェームス・R・グラントとヒル・トム(エディンバラのブレンダー)がロングモーン蒸留所を買い取り復活を果たしました。
1970年にはグラント家とヒル・トムソンがグレンリベット蒸留所やグレングラント蒸留所を合併させグレンリベット・ディスティラリーズを設立。
1977年にはシーバスの傘下となり、2001年にはベルノ・リカールがシーグラムのシーバスブラザーズを買収したため、
現在も変わらずロングモーン蒸留所はシーバスの傘下となっています。
ロングモーンの製法
ロングモーン蒸留所は2012年に設備の改修が行われ、コンピューター管理の近代的な蒸留所になりました。
8.5トンの糖化槽(ブリッグス社のフルラウター式)を使用し糖化に5時間、
発酵槽はステンレス製が10槽(1槽につき39000Lの麦汁が入る)で、発酵時間は約50時間かけています。
蒸溜棟には玉ねぎ型のポットスチル、初溜釜が4基(1基につき17000L)と再溜釜4基が稼働しています。
ロングモーン蒸溜所で生産されたスピリッツは全てキースとマルベンの街に輸送し、ベルノリカールが運営する巨大な貯蔵施設で熟成されボトリングされています。
ロングモーン好きにおすすめのウイスキー
ロングモーンはブレンダーの間ではトップドレッシングの一つとして知られています。
トップドレッシングとは、味わいにより深みと奥行きを与える最上のモルトのことを指すブレンダー用語です。
ロングモーン好きなら気になるトップドレッシングに選ばれているウイスキーを2つおすすめします。
ザ・マッカラン12年
マッカランのスタンダードボトルといえば「ザ・マッカラン12年」です。
シェリー樽で12年熟成させたシングルモルトで、華やかな香りとフルーティで上品な甘み、まろやかな口当たりが堪らないウイスキーです。
高級感溢れるその味わいは「シングルモルトのロールスロイス」と称されるほど評価が高く、人々を魅了し続けています。
グレンファークラス105
グレンファークラス105はグレンファークラスで最も人気の高い銘柄で、
1968年に発売され今でもウイスキーファンからは高い評価を受けているボトルです。
オロロソシェリー樽のみを使用し熟成されており、豊かなシェリーの香りからビターチョコレートのアロマもほのかに感じられるのが特徴です。
メープルシロップやラムレーズン、果実のフルーティな甘さが口いっぱいに広がりコクのある贅沢な味わいが楽しめます。
まとめ
3大トップドレッシングの一つとして選ばれているロングモーンを紹介しました。
ロングモーン蒸溜所はジャパニーズウイスキーの父として有名な「竹鶴政孝氏」が最初にウイスキー造りを学んだ場所としても知られ、日本に所縁がある蒸溜所です。
ウイスキーとして日本では知名度は高くないですが、「スペイサイドの隠れた宝石」とも言われる銘酒ですので、バーなどで見かけた際はぜひ飲んでみてはいかがでしょうか。