グレンファークラスは、スコットランドのスペイサイドで生産されているシングルモルトウイスキーです。
グレンフィディックと同様に家族経営をしている珍しい蒸留所です。
この記事では、グレンファークラスの味わい、特徴、歴史や製造方法などを紹介します。
記事の最後には、グレンファークラスが好きな方におすすめなウイスキーも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
グレンファークラスの特徴・概要
グレンファークラスは、熟成にシェリー樽しか使わないといったこだわりがあり、良質なオロロソシェリー樽で熟成しています。
グレンファークラスは、シェリー樽からくる甘い風味が特徴です。
グレンファークラスの味わい・香りの特徴
グレンファークラスの風味は、シェリー樽からくる甘みや風味がしっかりでているのが特徴です。
熟成年数の短い8年は、ライトで酒質が軽く感じますがグレンファークラス特有のピート香やシェリー樽からくる甘みをしっかりと感じます。
グレンファークラスは、シェリー樽の風味を楽しみたい方向けのボトルです。
珍しい家族経営によるこだわりの製法
グレンファークラスは、各製造工程にこだわりを持っています。
そのこだわり抜いた製法により、グレンファークラスにはシェリー樽由来のスモーキーな香りや甘みを感じられます。
仕込み水は、蒸留所の背後にそびえ立つベンリネス山の余分な成分が含まれていない良質な軟水。
蒸留器はガスバーナーによる石炭直火焚きで、熟成樽は全てシェリー樽、熟成庫は100年以上前から変わらないダンネージ式の熟成庫でじっくり熟成しています。
こだわりの製法があるからこそ、シェリー樽のみの熟成でもバリエーション豊かな風味を作り出しています。
グレンファークラスのおすすめの飲み方はストレート・トワイスアップ
グレンファークラスの風味を楽しめるおすすめの飲み方は、ストレートかトワイスアップがおすすめです。
グレンファークラス105やグレンファークラス12年は、ストレートで飲むとシェリー樽からくる甘みやスモーキーな味わいを最も感じます。
少し加水をしたトワイスアップだと、ラムレーズンや西洋ナシのフルーティな香りが広がり香りを楽しめます。
グレンファークラスの味わいは濃厚なため、ガツンとくる味わいです。
食後に時間をかけてゆっくり飲みたい方におすすめです。
グレンファークラスの種類
グレンファークラス8年
グレンファークラス8年は、8年間シェリー樽で熟成させたボトルです。
比較的ライトな味わいでドライな印象があります。
熟成年数が短いため、味に深みはないもののグレンファークラスらしいピート香を感じます。
味わいは、ライト味わいでドライフルーツやアーモンドチョコのような味わいと、シェリー樽からくる甘み。
甘みを抑えたドライな味わいが特徴です。
味に深みや奥ゆかしさがないため、ロックでの飲み方がベストです。
グレンファークラス10年
グレンファークラス10年は、シェリー樽で最低10年熟成させたボトルです。
熟成年数は8年と同様に短いですが、風味がしっかりしているのがポイントです。
香りは、花の蜜のような甘い香り、ドライフルーツ、シナモン、バニラや強めのスモーキー。
味わいはスイートな味わいが強く、スモーキー、ビターな味わいが続きます。
スイートな味わいが特徴的で、熟成年数が10年とはいえ風味がしっかりしています。
ストレートでの飲み方がおすすめです。
グレンファークラス12年
グレンファークラス12年は、シェリー樽と新樽で熟成させているグレンファークラスのスタンダードボトルです。
香りは、シェリー樽の甘い香りが印象強く、西洋ナシのフレッシュで豊かな香りも感じます。
味わいは、シェリー樽由来の甘みとスパイシーな味わいが特徴的で、オレンジのフルーティさや上品な風味です。
シェリー樽の風味を味わえるボトルです。
ストレートで飲むとシェリー樽由来の力強く重厚な味わいを堪能でき、加水をすると西洋ナシのフルーティな味わいを楽しめます。
グレンファークラス12年 カスクストレングス バッチ2
グレンファークラスの12年 カスクストレングス バッチ2は、日本市場向けの限定ボトルです。
グレンファークラスがこだわるシェリー樽とホワイトオーク樽を使用しています。
銘柄は12年となっておりますが、熟成には11~15年の期間を費やしています。
口当たりは、パワフルでありながら清涼感があり様々な果実のフレーバーが口の中で広がります。
そして、フィニッシュでは晴れた日にお花畑を散歩しているようなフレッシュで心地よい余韻が残ります。
ただし、スモールバッチのため希少なボトルです。
グレンファークラス13年 カスクストレングス バッチ3
日本市場限定として販売されているグレンファークラスのカスクストレングスシリーズの第3弾が12年のバッチ3です。
バッチ1とバッチ2は、大阪で開催されたウイスキーフェスティバル大阪でお披露目されてから夏にリリースされていました。
しかし、このバッチ3はフェスティバルの中止により2020年12月にリリースされたボトルです。
香りは、黄色系のフレッシュフルーツの酸味とホワイトチョコレートなどの甘い香りが広がります。
味わいは、アルコール度数58.9度を感じさせない柔らかなアタックでオレンジジュースやバター飴もモルトの中に感じます。
グレンファークラス15年
グレンファークラス15年は、シェリー樽で最低15年熟成させたボトルになります。
香りは、バニラ、ブドウやジャムといった甘酸っぱいフルーティな香り。
味わいは、ラムレーズンやバニラ、ドライフルーツのような味わいでリッチでまろやかな風味を感じます。
フルーティで甘味がありつつも、ピート香やスパイスの味わいも感じるバランスの取れた一本です。
グレンファークラス17年
グレンファークラス17年は、シェリー樽で17年熟成させたボトルで現オーナーのグラント氏が最も気に入っているボトルです。
シェリー香が強さが特徴で、レーズン、バニラアイスクリーム、ドライフルーツやビターと複雑な香りを感じます。
味わいは、ベリー系のフルーティな味わいとビターチョコを思わせるような芳醇な甘さです。
フルボディでとろみのある口あたりとなっています。
フルーティで複雑な香りを感じるグレンファークラス17年は、ストレートでじっくりお楽しみください。
グレンファークラス21年
グレンファークラス21年は、シェリー樽で21年熟成させた原酒を掛け合わせて作られています。
香りは、ドライフルーツやレーズン、はちみつ、濃厚なシェリーとビターの香りを感じます。
味わいは、甘い口当たりでレーズンやバニラといった甘味のあとに、カカオやコーヒーのようなビターな味わいとウッディーな味わいが続きます。
濃厚な味わいと香りを楽しめるボトルです。
2010年には、IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)で金賞を受賞している優秀なボトルです。
グレンファークラス21年 カスクストレングス バッチ2
グレンファークラス蒸留所と太いパイプをもつミリオン商事が、日本市場限定で新たに商品化したのがカスクストレングスシリーズです。
このシリーズのボトルは、熟成期間12年と21年のものだけを対象としており、2018年から年に1度だけリリースしています。
この21年のバッチ2は、カスクストレングスシリーズの2年目にスモールバッチとして登場しました。
カスクストレングスのポリシーは、選び抜かれた少数の樽からのみ瓶詰されたウイスキーであることです。
そのため、21年のバッチ2では果実の酸味と甘みそしてシェリー樽由来のタンニンをグレンファークラスのシングルモルトの中で感じることができます。
グレンファークラス21年 カスクストレングス バッチ3
グレンファークラス21年 バッチ3は、グレンファークラスにおけるカスクストレングスシリーズの2020年最新版としてリリースされました。
このボトルは、バッティング後に加水前の段階でボトリングされておりノンチルフィルターとノンカラーリングされています。
ボトリングされているウイスキーの見た目よりも、21年という長期熟成でうまれたシングルモルト本来の味わいを楽しんでもらいたいというグレンファークラスの思いがうかがえます。
フルーティーな中に金平糖のような甘みが加わり、シェリー樽で熟成したことによる複雑なフレーバーが楽しめます。
さらに少し加水すればフレッシュ感が増え、フルーティーさが際立ちます。
グレンファークラス25年
グレンファークラス25年は、シェリー樽で最低25年以上熟成させた原酒を掛け合わせて作られたボトルです。
香りは、樽から染み出たバニラやウッディーで芳醇な香りです
味わいは、はちみつの甘さの後にビターチョコやコーヒーのビターな味わいが続き、スパイシーさやゴムのような苦みといった余韻が残ります。
グレンファークラス10年、15年、17年はシェリー樽由来の甘味やフルーティな味わいが特徴的でしたが、グレンファークラス25年は、長期熟成からくる苦みや渋みが特徴です。
グレンファークラス30年 レッドドア
グレンファークラス30年 レッドドアのレッドドアは、熟成庫の扉をデザインとしたボトルケースから来ています。
赤色で両扉のボトルケースからは、重厚感を感じます。
香りは、シェリーの風味が感じられるシェリー香やフルーティな香りです。
味わいは、フルーティ、ナッツの味わいに長期熟成からくるコニャックやブランデーのような濃厚な味わいです。
30年熟成の複雑で重厚な風味は、ウイスキーファンなら飲んでおきたい一本です。
グレンファークラス105
グレンファークラス105は、加水をしていないカスクストレングスです。
加水での調整をしてないためアルコール度数は60%と非常に高く、樽から直接ボトリングしているため、シェリー樽由来のシェリー香を感じられます。
味わいは、濃厚なシェリー香やメープルシロップのような甘みの中にラムレーズンのフルーティな味わいとほのかにスパイシーさを感じます。
リッチでコクがある濃厚な味わいは、ストレートで飲むとヘビーな口あたりを感じます。
また、グレンファークラス105は、イギリス初の女性の首相だったサッチャー首相のお気に入りのボトルだったそうです。
グレンファークラス パッション
グレンファークラスの家族経営の情熱をあらわしている「パッション」です。
グレンファークラスのパッションでは、スコッチシングルモルトにシェリー樽から生まれるシェリーの癖をしっかりと感じられるのが特徴です。
飲み始めは、ゆっくりと階段をのぼっていくように徐々にフルーティーさ、硝煙、オイリーさが押し寄せてきます。
そしてアフターには、南国のフルーツ、硝煙、アールグレイ、カカオのフレーバーが口の中で広がります。
グレンファークラスのパッションは、ドイツの免税店限定で販売されているボトルで、日本では並行輸入品として購入できます。
グレンファークラス チーム
グレンファークラス蒸留所スタッフのチームワークをアピールしているのが「チーム」です。
グレンファークラス チームの特徴は、スモーキーでピーティーなフレーバーをベースとしてシェリー樽による濃厚な香味で典型的なフルボディタイプのモルトです。
こちらもパッション同様にドイツ免税店での限定販売のため日本で購入可能なのは並行輸入品です。
そのため、コルクの劣化によりフレーバーが変わってしまっているボトルもありますので購入時には注意が必要です。
グレンファークラス 1996 プレミアムエディション オロロソシェリーカスク
グレンファークラス 1996 プレミアムエディションは、1996年ヴィンテージで2017年にボトリングされたボトルです。
熟成にはグレンファークラスが選び抜いたオロロソシェリー樽を使用しており、20年以上の長期熟成をおこなったシングルモルトです。
このボトルは加水仕様のため、他のラインナップと比べてもアルコール度数が46%とやや低めです。
しかし、各ウイスキーメーカーが力を入れているドイツ市場で限定品として1996 プレミアムエディションを販売していることから、グレンファークラスの自信作であることが分かります。
口に含んだ瞬間、まずオロロソシェリー樽ならではの味わいを感じることができ、その後複合的な様々なフレーバーが押し寄せてきます。
グレンファークラス 2007 プレミアムエディション オロロソシェリーカスク
グレンファークラスの 2007 プレミアムエディション オロロソシェリーカスクは、2007年ヴィンテージで2018年にボトリングされたボトルです。
熟成期間が11年と若さを感じますが、純粋にグレンファークラスのモルトとオロロソシェリーの複合的な味わいをより強く感じます。
このボトルも 1996 プレミアムエディションと同様にドイツ市場での限定販売のため、グレンファークラスの強い自信を感じます。
日本で購入する場合は並行輸入品となり、売り切れが多いため見逃さないようにしてください。
グレンファークラス蒸留所の歴史
グレンファークラス蒸留所は、1836年にロバート・ベイによって設立されされたのが公式として残っていますが、1790年代に同じ場所で蒸留が行われていたと記録も残っています。
1865年にロバート・ベイが亡くなると、グレンファークラス蒸留所の近隣で農場を営んでいたジョン・グラントと息子のジョージが蒸留所を購入し、その後ジョン・スミスへ引き渡します。
ジョン・スミスは、グレンリベットの創業者であるジョージ・スミスの息子でありクラガンモアの創業者でもあります。
1870年にジョン・スミスは自らが創業したクラガンモア蒸留所を運営するために、グレンファークラス蒸留所の運営権をグラント親子に戻します。
その後、グラント親子はJ&Gグラントを組織して蒸留所の運営を始めます。
1889年にジョン・グラントが亡くなった後は、息子のジョンとジョージが運営をし、評判の悪いパティソン・エルダーと共同でグレンファークラス-グレンリベット・ディスティラリーを組織します。
しかし、1898年にパティソンが破産してしまうと、共同で組織を運営していたグレンファークラスも資金難になってしまいます。
当時は、ストックをしていたウイスキーの売却などで何とか破産を回避します。
1914年にジョンが病気のため引退し、1949年にはジョージが亡くなってしまいます。
1949年にジョージの息子であるジョージ・スコットとジョン・ピーターが引継ぎ蒸留所を運営します。
1960年に蒸留器を2基から4基へ増設し、1968年にはスコットランドで初のカスクストレングスのシングルモルトを発売。
これが、後のグレンファークラス105となります。
1976年には蒸留器を4基から6基へ増設。
2002年にはジョージ・スコットが亡くなってしまい、ジョンL・S・グラントが後継者となり現在に至ります。
グレンファークラスの製造方法
グレンファークラスに使われている仕込み水は、蒸留所の背後にそびえ立つスコットランド最高峰のベンリネス山から湧き出る水を使用しています。
天然のろ過装置をくぐり抜けてきたベンリネスの水は、良質な軟水です。
ベンリネス山の中腹に独自の水源を確保することで、良質な水を安定して調達しています。
グレンファークラス蒸留所の特徴とも言えるのが、今では珍しいガスバーナーによる直火焚き蒸留です。
スペイサイドで最大の蒸留器を使っており、現在は効率的で経済的な間接加熱での蒸留が主流となっていますが、グレンファークラスの味わいはガスバーナーによる直火焚きでしか個性を出すことができません。
そして、グレンファークラスのもう一つの特徴が良質なオロロソシェリー樽での熟成です。
グレンファークラスは熟成にファーストフィルからフォースフィルまで様々な種類の樽を使い分けることで、味に違いを出しています。
熟成庫は、100年前から変わらないダンネージ式と呼ばれる伝統的な熟成庫です。
ダンネージ式とは、天井が低く外壁は石やレンガで覆った分厚い壁で、樽は4段までしか積み上げない熟成庫のことです。
熟成庫のサイズが小さく分厚い壁でおおわれているため、外からの温度や風の影響を受けにくく湿度が高いです。
湿度が高いと熟成のスピードが遅くなり、じっくりと時間をかけて熟成することができます。
家族経営による製造とはいえ、こだわり抜いた製造方法によりグレンファークラスは生産されています。
現在の生産量は年間350万ℓです。
グレンファークラス好きにおすすめのウイスキー
グレンファークラスが好きな方におすすめなウイスキーを紹介します。
グレンファークラスの特徴である「シェリー樽由来の甘み」や「フルーティな香り」などを基準に、シェリー樽で熟成しているウイスキーを選びました。
シェリー樽で熟成しているウイスキーは甘味が特徴で、初心者にもおすすめなのでぜひ飲み比べてみてください。
ザ・マッカラン12年
マッカラン12年は、スコットランドのハイランド地方で生産されているシングルモルトウイスキーで、シングルモルトのロールスロイスと賞されるほど完成度の高いボトルです。
自社で原木の選定から製樽まで行っており、シェリー樽へのこだわりを感じられます。
香りは、バニラやジンジャー、ドライフルーツ、シェリー樽由来の甘さを感じます。
味わいは、濃厚なドライフルーツやシェリーの味わいです。
ザ・マッカランのスタンダードボトルであるザ・マッカラン12年はストレートでの飲み方がベストです。
ザ・グレンリベット・ナデューラ・オロロソ
ザ・グレンリベット・ナデューラ・オロロソは、熟成にオロロソシェリー樽のファーストフィルのみ使用しています。
香りは、ドライフルーツ、ブドウやシナモンといったフルーティな香り。
味わいは、オロロソシェリー樽由来のクリーミーな甘み、ダークチョコレートのビターな味わいの後に、ほのかなドライでスパイシーな味わいが続きます。
ファーストヒルのオロロソシェリー樽で熟成することで、ドライフルーツやスパイスの効いた風味を作り上げています。
まとめ
グレンファークラスは、家族経営によるこだわりの製法を貫いているシングルモルトウイスキーです。
熟成にシェリー樽しか使っていないため、シェリー樽由来の甘み、豊かなフルーティな味わいやほのかなに感じるスパイスの味わいが特徴です。
ストレートで飲むと、シェリーの風味をよく感じます。
ぜひお試しください。