フロムザバレルは、ニッカウヰスキーが手がけるジャパニーズブレンデッドウィスキーです。
他のウィスキーとは違う製造工程による風味や、小さいけどパワフルな印象を受けるボトルが特徴的です。
この記事ではフロムザバレルの味わい、特徴、歴史や製造方法などを紹介します。
記事の最後には、フロムザバレルが好きな方におすすめなウィスキーも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
フロムザバレルの特徴・概要
フロムザバレルは、仙台市の広瀬川と新川が合流する自然に囲まれた宮城峡蒸留所で製造されています。
宮城峡蒸留所では、フロムザバレルの他にシングルモルト宮城峡も製造しています。
フロムザバレルの味わい・香りの特徴
フロムザバレルの味わいは、力強いコクや重厚感が特徴です。
通常のウィスキーの製造工程は、ブレンド→加水→ボトル詰めといった工程を経ています。
しかし、フロムザバレルの場合はブレンド→加水→マリッジ(再貯蔵)→ボトル詰めといった工程となっています。
加水をした後にマリッジすることで、加水によって受ける風味を損なうことなくアルコール度数51%の高い度数と骨太な飲みごたえを実現しています。
アルコール度数の高さとマリッジ製法により、重厚で力強い味わいが生み出されています。
特徴的なボトルのコンセプト
フロムザバレルのボトルのコンセプトは、「ウィスキーの小さな塊」です。
ボトルのデザインを手がけたのは、グラフィックデザイナーの佐藤卓。
彼の著書である「クジラは潮を吹いていた。」では、濃い味のウィスキーであるフロムザバレルは、「小さな塊」にしたいと思ったそうです。
力強く重厚感のある味わいとコク、マリッジによって生まれた濃い味わいは量を少なくした方が美味しそうに見えるとのこと。
一般的なウィスキーのボトルは円柱型ですが、四角いボトルにすることで正面から見たときに小さく見えるため、四角いボトルを採用したそうです。
四角い無骨なデザインからも、フロムザバレルの力強さを感じます。
フロムザバレルのおすすめの飲み方はハイボールもしくはロック
フロムザバレルの華やかな風味を味わうなら、ハイボールがおすすめです。
フロムザバレルは重厚で力強い風味やコクが特徴であるため、ソーダで割っても風味を損なうことがありません。
基本的にウィスキーは、ストレートでの飲み方に適した作り方をされていますが、フロムザバレルはガツンと来る強い味わいなため、ソーダに負けることがなくさらに風味やコクを感じます。
フロムザバレルの特徴である高いアルコール度数やマリッジによる力強い風味を味わうなら、ロックスタイルがおすすめです。
フロムザバレルの本来の味を楽しめます。
フロムザバレルの種類
フロムザバレル
フロムザバレルは、重厚感のある味わいとコクが特徴です。
マリッジした後は加水をせずにボトル詰めしているため、アルコール度数は51%と高くなっています。
香りは、ドライフルーツの甘酸っぱい香りと樽由来のウッディーな香りを感じます。
味わいは、口にまとわりつくようなねっとりとした滑らかな口あたり。
キャラメルのような甘さや、ドライフルーツのような華やかさも感じます。
2009年には、ベスト・ジャパニーズ・ブレンデッドウィスキーを受賞。
2011年~2016年までは、ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で6年連続で金賞を受賞。
2015年には、ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で450以上のウィスキーの中からカテゴリー最高賞となるトロフィーを受賞しています。
フロムザバレル 特級
フロムザバレルの特級表記は、現在では流通していませんがネットオークションなどでは高額で取引されています。
発売当初は特級、一級、二級と度数によって税率が変わっていたため、アルコール度数が51%のフロムザバレルは特級の表記になっています。
ウィスキーファンやウィスキー愛好家なら、手に入れておきたいボトルです。
フロムザバレル 有田焼デザイン
フロムザバレル 有田焼デザインは、贈答用に作られたボトルです。
色鮮やかで華やかなデザインが特徴的です。
風味に違いはありませんが、ウィスキーファンであるなら手元に置いておきたいですね。
また、華やかなデザインはウィスキーが好きな方へのプレゼントとしても喜ばれるでしょう。
現在はオフィシャルでの販売ではありませんが、オークションサイトなどで購入できます。
フロム・ザ・バレル(宮城峡蒸溜所限定)
「フロム・ザ・バレル ( 宮城峡蒸留所限定 ) 」は、1985年から販売されロングセラーのノンエイジブレンデッドウイスキーです。
このボトルは、モルトとグレーンをブレンドしたあと再度樽詰めして数ヶ月貯蔵するマリッジ製法をおこなっており、加水処理を極力抑えてアルコール度数51でボトリングされています。
香りは、レーズンやマンゴーなどのフルーティーな香りにバニラやメープルシロップの甘さが加わり、カフェグレーンの香ばしい甘さも感じます。
味わいは、クリーミーな口当たりで、プルーンやレーズンと柿の熟れた果実の甘さにシェリーの甘酸っぱさや焦げた樽を思わせるビター感もあります。
余韻は、甘さとビターなフレーバーが口の中にのこります。
フロムザバレルの歴史
フロムザバレルは、1985年にニッカウヰスキーから発売されました。
当時は、ラベルに「特級」との記載がありました。
1949年に原酒混合率によって酒税を掛ける制度が制定され、一級から三級までの等級がありましたが、特級の表示は1953年に制定されました。
度数43度以上のウィスキーを「特級」、40度以上43度未満を「一級」、39度以下を「二級」と分類し度数によって酒税が掛けられていました。
1989年にこの等級の制度はなくなり、税負担が軽くなっています。
また、当時はフロムザバレル特有の重厚で力強い味わい、高いアルコール度数は受け入れられていませんでした。
しかし、2009年には、ベスト・ジャパニーズ・ブレンデッドウィスキーを受賞。
2011年~2016年まではISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で6年連続で金賞を受賞。
2015年には、ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で450以上のウィスキーの中からカテゴリー最高賞となるトロフィーを受賞。
世界で様々な賞を受賞したことにより、日本でも人気のあるウィスキーとなりました。
発売当初は2000円で販売されていましたが、現在は2400円と価格が高騰しているうえ、品薄になり終売なんて話も出るほど人気が高いです。
しかし、フロムザバレルは価格を釣り上げることによって終売から逃れているため、スーパーや酒屋に行けば手に入れることができます。
フロムザバレルの製法
フロムザバレルの特徴は、マリッジ製法と度数の高さです。
マリッジ(結婚)とは、ブレンドした原酒を再度樽に詰めて熟成させる方法のことです。
マリッジをすることにより、組み合わせた原酒が結婚をするかのように混ざりあい風味を生み出しています。
フロムザバレルに使われる原酒は、余市蒸留所と宮城峡蒸留所で作られたモルト原酒とカフェグレーン原酒です。
また、フロムザバレルはマリッジする前に加水をして度数を調節していますが、極力加水をしない方法を取っています。
それは、加水をすることによって風味が損なわれてしまうからです。
そのため、フロムザバレルでは加水→マリッジ→ボトル詰めといった工程となっており、樽から直接ボトル詰めしているため度数が高く濃厚なコクとなっています。
フロムザバレル好きにおすすめのウィスキー
フロムザバレルが好きな方におすすめのウィスキーを紹介します。
フロムザバレルの「力強い味わい」、「重厚感」などを基準に選びました。
シングルモルト余市
シングルモルト余市は、ランナップされている中のスタンダードボトルです。
石炭直火蒸留によるピーティでスモーキー、力強いコク、重厚感、麦の甘い風味とバランスの取れたシングルモルトです。
余市蒸留所は、竹鶴政孝が修行をした地であるスコットランドのロングモーン蒸留所を模して作られています。
ストレートで余市の重厚感やピーティでスモーキーな風味をお楽しみください。
ザ・ニッカ12年
ザ・ニッカ12年は、12年以上の原酒をブレンドしたプレミアムブレンデッドウィスキーです。
余市のピーティでスモーキーな風味や宮城峡モルトの軽やかな風味、カフェグレーンがブレンドされています。
香りは、樽の熟成香や華やかでフルーティな香り。
味わいは、香ばしいビスケットやバニラ、キャラメルの甘い風味を感じます。
力強く重厚な味わいの中に、華やかな風味を感じるバランスの取れた風味となっています。
まずは、ストレートでお試しください。
まとめ
フロムザバレルは、力強い重厚感やコクが特徴のブレンデッドモルトです。
度数が高いため、ウィスキーを飲み慣れていない方はハイボールやロックからお試しください。