グレングラッサは、グレングラッサ蒸溜所でつくられているシングルモルトウイスキーです。
この記事では、グレングラッサの味わいや特徴、歴史、製造方法などを紹介します。
また、併せておすすめのウイスキーをご紹介します。
読み終わる頃にはグレングラッサが飲みたくなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
グレングラッサの特徴・概要
グレングラッサ蒸溜所は、20年間以上の休止期間にありました。しかし、近年2008年より蒸溜所が奇跡の再開されました。
グレングラッサとはゲール語で「灰色と緑の谷」という意味があります。
グレングラッサの味・香りの特徴
グレングラッサは、甘いキャラメルのような香りと、クリーミーな味わいが特徴です。
この味わいは、小規模ながらも伝統的な製法を使ってウイスキーつくりをしているからこそなせる蒸溜所だからできる味わいだといえます。
蒸溜所は映画のロケ地にもなった場所
グレングラッサ蒸溜所はマレイ湾に面したポートソイという小さな港町のはずれにあります。
この町は、2018年2月に公開した「ウイスキーと2人の花嫁」もロケ地として選ばれたヴィクトリア時代の建物が残る美しい漁港だそうです。
この映画は、実話を基につくられた映画です。1941年に起きたSSポリティシャン号の海難事故をモデルです。
グレングラッサを飲みながら観れば楽しさが増すこと間違いなしでしょう。
グレングラッサのおすすめの飲み方は「ロック」
グレングラッサの特徴でもある、甘いキャラメルのような香りと、クリーミーさを存分に堪能するのであればロックにすることをおすすめします。
グラスに入れたウイスキーが氷によって冷やされ、より奥深く堪能することができます。
また、お好みで加水して自分好みの濃さにすると良いでしょう。
グレングラッサの種類
ここでは、グレングラッサの種類についてご紹介します。
各ラインナップを飲み比べることで、味の違いを知ることができますので、よりグレングラッサについて知ることができます。
グレングラッサ リバイバル
グレングラッサ リバイバルは、蒸溜所が再開後に蒸溜された最初のスタンダードボトルです。
味わいは、オイリーでミルキーで、チェリー、オレンジビター、ジンジャー、ミード。
香りは、ワイニーでシリアル、アケビ、ジンジャー、プラム、トフィー、シェリーを感じさせます。
グレングラッサ エボリューション
グレングラッサ エボリューションは、テネシーウイスキーのファーストフィルのバレルで、6年以上熟成させたものになります。
香りは、カリンまたは金柑のようなフルーツ香、洋ナシ、バニラ、アロマに微かなピート、メンソールを感じます。
味わいは、甘くスパイシーな刺激が口に広がりが最初の印象です。
その後、バターソテーしたバナナ、ジンジャー、ホワイトオークのウッディネス、グレープフルーツのような苦味とピートを感じさせます。
グレングラッサ トルファ
グレングラッサ トルファは、ブランドとして初のピーテッドボトルです。
ピートを焚き込んだ麦芽を使い、バーボンバレルで熟成後、少し高いアルコール度数50%でボトリングしたものになります。
香りは、とても甘く、潮風などピートを強く感じます。
後から、アプリコットジャム、熟した果実の甘さ、ジンジャーとブラックペッパーのスパイスが続きます。
味わいは、海のたっぷり詰まったピートスモークがメロン、パイン、ローストした赤りんごに被さり、オーツ麦のビスケット、ヘザーハニー、そしてシガーボックスのスパイスが組み合わさります。
グレングラッサ30年
グレングラッサ30年は、リフィルシェリーバット4樽とホグスヘッド1樽を使用した秀逸なシェリー樽フレーバーが特徴です。
香りはマンゴー、ピーチ、バナナなどフルーツをベースで、シェリーやレーズンの酸味が加わります。
味わいも南国フルーツ、シェリー、トフィー、そしてホグスヘッドからのバニラ、オークスパイスとアフターに残る潮風の複雑な風味になります。
グレングラッサ51年
グレングラッサ51年は、大変希少価値のあるボトルかつ高品質なボトルです。
1963年2月15日に蒸留され、樽に詰められており、現在ある在庫の中で最も古い樽の1つです。
香りは、イチジクやプルーンシロップから繊細なアプリコットやブラックベリーになります。
またベルギーチョコレートと焙煎コーヒーのような風味もあります。
味わいは、まろやかさがありながらも、フルーティーさや糖蜜のような印象です。
グレングラッサ レアカスク
グレングラッサ レアカスクは、希少な樽でリリースされているボトルです。
味わいは、トロピカルフルーツと潮の海を連想させ、また緑豊かで熟したハイランドシングルモルトスコッチウイスキーを感じさせます。
グレングラッサ ピートバージンオークウッドフィニッシュ
グレングラッサ ピートバージンオークウッドフィニッシュは、アメリカンバージンオーク樽で仕上げています。
香りは、トーストしたオークスパイスのクリーミーなバニラがキャンディーストアの菓子とさわやかなピートの大麦が香ります。
味わいは、オークと砂糖漬けの生姜、タフィーなどがあり奥深さがあります。
グレングラッサ ピートポートウッドフィニッシュ
グレングラッサ ピートポートウッドフィニッシュは、ピートポートウッド樽でフィニッシュしたボトルです。
香りは、とても甘いピートスモークさや黒胡椒のほのかな香りがあります。
味わいは、おいしいワイルドレッドベリーのコンポートとクロテッドクリームなどで、とてもバランスが取れています。
グレングラッサ ペドロ・ヒメネスシェリーウッドフィニッシュ
グレングラッサ ペドロ・ヒメネスシェリーウッドフィニッシュは、ペドロ・ヒメネスのシェリーウッド樽で仕上げています。
スピリットの甘美な甘さが強まります。
「シェリーの王様」として知られるPXは、レーズンのような素朴な特徴で知られています。
香りは、クリーミーなバニラ、キャラメリゼのような果樹園の果実の上に白胡椒されているような香りです。
味わいは、洋ナシのタルトタタンにバニラを注入したデメララシュガーをまぶして、杉の木のスパイスと濃厚で甘さがあります。
グレングラッサ ポートウッドフィニッシュ
グレングラッサ ポートウッドフィニッシュは、グレンモーレンジオフィシャルのポートウッドフィニッシュさせたボトルです。
香りは、タフィー、ブルーベリー、そしてガーデンミントのタッチの心地よいアロマがあります。
また、優しいオールスパイスが繊細な温かさがあります。
味わいは、鮮やかなピンクグレープフルーツとブラッドオレンジは、フルーティーでフレッシュさがあります。余韻が良く、長くてさわやかな仕上がっています。
グレングラッサ マサンドラコネクション
グレングラッサ マサンドラコネクションは、マサンドラの最高のワインを熟成させる樽で熟成されているボトルです。
この樽は、クリミア半島のマサンドラワイナリーから少量の樽を独占的に購入しています。
香りは、ドライパイナップル、バナナ、ゴールデンサルタナを、茎の生姜と白胡椒のスパイスの香りがあります。
味わいは、青リンゴと洋ナシ、それとライムの皮を感じさせます。
また、熟したトロピカルフルーツが口に広がりヴィンテージに大きな深みをもたらします。
グレングラッサ オクターブピート
グレングラッサ オクターブピートは、マスターブレンダーのビリーウォーカーが、瓶詰めする樽を選んだボトルになります。
香りは、英国家庭のアップルクランブルやクロテッドクリームを感じさせます。
味わいは、アプリコットジャムとグリーンゲージプラム、黒コショウが口に広がります。
グレングラッサ オクターブクラシック
グレングラッサ オクターブクラシックも、マスターブレンダーのビリーウォーカーが、瓶詰めするオクターブ樽を選んでつくられたボトルになります。
香りは、とてもスイーツさがあり、 白胡椒とシナモンのやさしい温かみのあるシャーベットとリンゴ飴になります。
味わいは、鮮やかな青リンゴの皮のノートは、黄色いプラムの煮込みと黒いバニラとでバランスが取れています。
グレングラッサ スローベリーリキュール
グレングラッサ スローベリーリキュールは、スピリットとブラックソーンツリーから採れた最高級のスローベリーを組み合わせてつくられたボトルです。
香りはユニークで、さわやかな果樹園の果物、バタースコッチ、そして甘い挽きたての大麦になります。
味わいは、スローベリー自体の酸味を保ちながら、フルーティーな果物の味わいがあります。
グレングラッサ蒸留所の歴史
グレングラッサ蒸留所は、マレイ湾に面したポートソイという小さな港町のはずれにあります。
創業は1875年、地元の実業家であるジェームズ・モイヤーが高額なお金を使って設立しました。
創立した目的としては、地元の村おこしと自分の店で売るウイスキーの確保のためといわれています。
そこから何度か蒸溜所の拡張と改装を繰り返しながら、約20年稼働をしていました。
1892年ロバートソン&バクスター社に売却されました。
また同じ年にハイランド・ディスティラーズ社に売られてしまいました。
そこからウイスキー業界の不況の煽りを受けて、3度の休止期間がありました。
1950年代になるとアメリカでスコッチウイスキーブームが起こったので、蒸溜所はそのブームに乗るために、1957年に再建事業に乗り出し、1960年に再開しました。
しかし、1980年代に生産過剰で経営が悪化して、ついに1986年にグレングラッサ蒸留所の閉鎖します。
2008年に、グレンロセスやハイランドパークで所長を務めていたスチュワート・ニッカーソン氏がグレングラッサ蒸溜所の復活プロジェクトが動き出します。
長い期間、蒸溜所は稼働をしていなかったために、色々と復活プロジェクトは難航しました。
資金巡りや、原酒のストックが極端に少ない状態でウイスキーのリリースまではかなり時間がかかってしまいました。
そこに目を付けたベンリアック・ディスティラリー社のビリー・ウォーカーが、2013年にグレングラッサを買収しました。
ベンリアック、グレンドロナック、に続く第三のウイスキー蒸留所として稼働し始めます。
その3年後、アメリカのブラウンフォーマン社が買収されました。
現在は、同社からウイスキーが造られ、日本では「アサヒビール」が販売をしています。
グレングラッサの製法
グレングラッサは、とても古い蒸溜所であり、また小規模生産の蒸溜所でもあります。
仕込み水に使われているのは、グラッサ川の泉を使っています。
この仕込み水と、最高品質のスコットランド産大麦を伝統的な製法でウイスキーを製造しています。
一回の仕込みに5トンの麦芽を使い、25000リットルの麦汁を得ます。
ちなみに、この時に使われている麦芽粉砕機や糖化槽は、ポーディアス社製の古い設備を使って行われています。
次に、オレゴンパイン製の発酵槽で54~80時間ほど発酵させます。
そしてボール型のポットスチルで2回蒸留していきます。
最後に、できた原酒をアメリカンオークのバーボン樽を使って熟成させます。
このようにしてグレングラッサはつくられているのです。
グレングラッサ好きにおすすめウイスキー
ここでは、2013年にグレングラッサを買収したベンリアック・ディスティラリー社のウイスキーをご紹介します。
飲み比べることでウイスキーのタイプの違いがわかるかもしれません。
ベンリアック10年
ベンリアックはスコットランドのスペイサイド地方で造られているシングルモルトウイスキーで、バーボン樽原酒とシェリー樽原酒などの樽で熟成させたボトルになります。
香りは、ゆるくオークのアロマ、ベイクドオレンジ、シナモンになります。
味わいは、南国フルーツのようなフルーティーさを感じさせます。そしてバタークッキーの香ばしく優しい風味があります。
グレンドロナック オリジナル 12年
グレンドロナックはスコットランドのハイランド地方に蒸溜所を構え、製造を行なっているシングルモルトウイスキーです。
香りは、まろやかにして複雑があり、ハチミツやミルクチョコレートを感じさせます。
味わいは、濃厚なバニラ風味、フルーティさがあり、また甘いだけではなく余韻にビターチョコレートのコクと苦み、クローブのようなスパイシーさも感じます。
まとめ
グレングラッサ蒸溜所で製造されているグレングラッサについてご紹介しました。
20年以上も閉鎖されたウイスキーが奇跡的な復活をしたことが最大の特徴ともいえます。
この記事で興味を持った方は、奇跡的な復活を遂げたグレングラッサを是非ご賞味ください。