宮城峡はニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝が製造した、シングルモルトウィスキーです。
竹鶴政孝が最初に製造した余市とは、異なる製造法御法により余市と対照的な味わいとなっています。
この記事では、宮城峡の味わい、特徴、製造方法や歴史などをご紹介します。
記事の最後には、宮城峡が好きな方におすすめのウィスキーも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
宮城峡の特徴・概要
宮城峡は、ニッカウィスキーが製造しアサヒビールが販売しているシングルモルトウィスキーです。
宮城峡は、2012年にISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で銀賞を受賞し、2013年には金賞を受賞しています。
宮城峡の味わい・香りの特徴
洋梨やりんごのようなフルーティな香りと、華やかなフローラルの香りを感じます。
味わいは、口あたりが優しいドライフルーツのようなスイートさや、なめらかな口あたりです。
個性がありつつもクセがなく飲みやすい味わいは、初心者向けのシングルモルトウィスキーです。
余市とは対照的な製造方法と味わい
ニッカウヰスキーの創設者である竹鶴政孝は、最初に余市蒸留所、二番目に宮城峡蒸留所を設立しています。
ヘビーピートで力強く重厚感のある余市の味わいは男性的、りんごや洋梨のようなフルーティな香りでなめらかな口あたりの宮城峡は、女性的と言われ比較されています。
両者の味わいの違いは、製造方法にあります。
余市は、ストレートヘッド型のポットスチルと石炭直火での蒸留方法を採用しています。
ストレートヘッド型のポットスチルは、重厚でコクのあるモルトを作り出し、石炭直火蒸留により香りが強く力強い味わいを生み出しています。
一方で、宮城峡はポットスチルの胴体に丸い膨らみのあるバルジ型のポットスチルと間接蒸留を採用しています。
バルジ型のポットスチルを使用することで、軽やかでスムースなモルトを生み出し、石炭直火蒸留でじっくり蒸留することで華やかな香りのある風味を作り出しています。
宮城峡のおすすめの飲み方は「ロック・水割り」
宮城峡モルトの華やかな香りやスイートな味わいを楽しむなら、ロックがおすすめです。
ロックが苦手な方は、少しだけ水を加えた水割りがおすすめです。
加水をすることで宮城峡モルトの華やかでフルーティな香りが広がり、穏やかな余韻をもたらします。
宮城峡の種類
シングルモルト宮城峡
シングルモルト宮城峡は、華やかで軽やか、洋梨やリンゴを思わせるフルーティな香りがあります。
味わいは、口あたりが優しいスムースな味わいで、まろやかな甘みを感じます。
余市とは対照的な味わいは、ウィスキーを飲み慣れていない方でも飲みやすく女性にもおすすめです。
ロックでの飲み方がおすすめですが、飲み慣れていない方は水割りでお試しください。
シングルモルト宮城峡10年
シングルモルト宮城峡10年は、すっきりとした華やかでフルーティな香りです。
なめらかなで深みのある熟成香の味わいと、熟成樽由来のコクのある味わいが続きます。
ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)では、2012年、2013年と銀賞を受賞しています。
現在は終売しています。
シングルモルト宮城峡12年
シングルモルト宮城峡12年は、ドライでスパイシーな刺激のある強い香りが特徴で、ややオークの香りも感じます。
味わいは、樽由来の濃くまろやかな味わいで、バニラや焦がしたリンゴのような味わいがします。
ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)では、4度の銀賞と3度の金賞を受賞しています。
2008年ころにリリースされ、2015年頃までは入手できましたが、現在は終売しており入手困難となっています。
シングルモルト宮城峡15年
宮城峡15年は、宮城峡10年や宮城峡12年よりシェリー樽原酒を多く使っているためシェリー樽由来の華やかで芳醇な香りが特徴です。
味わいは、バニラの甘味やナッツのような甘く香ばしい口あたりです。
熟成年数が長いため、円熟したまろやかな風味となっています。
ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)では、7度の銀賞を受賞しています。
現在は販売されておりません。
シングルモルト宮城峡 1988
「シングルモルト 宮城峡 1988」は、1988年ヴィンテージで1,500本限定でリリースされた20年熟成のシングルモルトです。
このボトルは、宮城峡蒸留所で熟成した様々なモルトから4つのタイプを厳選して、それらをバッティングしています。
香りは、オレンジマーマレードやジャムなどの甘い香りに熟成樽のオーキーな香りやレーズンのフルーティーなアロマが漂います。
味わいは、カシスやラズベリーのフルーティーさにシロップのような暖かさが加わっています。
余韻は、オレンジの酸っぱさとスパイシーな後味が長く続きます。
宮城峡 リミテッドエディション2019
宮城峡リミテッドエディション2019は、宮城峡の開業50周年を祝った限定ボトルです。
1960年代、1970年代、1980年代、1990年代、2000年代の原酒を厳選してヴァッティングしています。
シェリー樽由来のコクのある甘さ、芳醇で豊かな味わいが特徴です。
5つの年代の原酒をヴァッティングさせたコクのある深み、豊かな味わい、長く続く余韻を楽しめます。
販売当初は30万円で販売されたものの、現在は価格が高騰し50万円程で販売されています。
宮城峡 マンサニーリャウッドフィニッシュ
宮城峡マンサニーリャウッドフィニッシュは、スタンダードボトルの宮城峡をマンサニーリャ樽でさらに熟成させたボトルです。
ドライフルーツやココナッツ、ミルクチョコレートといった甘さとまろやかさのある香りを感じます。
味わいは、シングルモルト宮城峡の持つまろやかで軽やかな味わに、マンサニーリャ樽のまろやかな甘さとやわらかな苦みが調和しています。
まろやかな味わいと、ほろ苦い余韻を楽しめる一本です。
シングルモルト宮城峡 アップルブランデーウッドフィニッシュ
2020年は、竹鶴政孝と妻であるリタの結婚100周年にあたります。
シングルモルト宮城峡 アップルブランデーウッドフィニッシュは、竹鶴政孝と妻のリタの結婚100周年を祝い、2020年の3月に数量限定で発売されました。
アップルブランデーを28年間以上熟成させた樽で、シングルモルト宮城峡を約6か月間熟成させています。
アップルブランデーの樽で熟成されたシングルモルト宮城峡は、フレッシュなリンゴ、フルーツケーキのような甘酸っぱい味わいといった、爽やかな甘さと少しのビター感のある味わいとなっています。
宮城峡のファンなら手に入れたい一本です。
宮城峡 モスカテルウッドフィニッシュ
「宮城峡 モスカテルウッドフィニッシュ」は、2017年9月に3,500本限定で日本市場だけにリリースされたボトルです。
このボトルは、宮城峡蒸留所で熟成したシングルモルトをポルトガル南部のセトゥーバル地区で栽培されたブドウ種のモスカテルで作られた酒精強化ワイン樽を使って、1年間フィニッシュさせています。
香りは、熟したレーズンやオレンジのフルーティーな甘みとモルトの香ばしさが漂います。
味わいは、オレンジマーマレードやサルタナレーズンの果実系の甘さに樽のウッディネスが加わり焦げたような甘さが広がります。
余韻は、ウッディでカカオの苦みがのこります。
宮城峡 ラムウッドフィニッシュ
「宮城峡 ラムウッドフィニッシュ」は、欧州と米国市場向けに3,500本限定で2017年11月にリリースされたボトルです。
このボトルは、ニッカウヰスキーが1本1本厳選したラム樽に宮城峡蒸留所で熟成したモルトを1年間フィニッシュさせています。
さらに、このボトルでは複雑で豊かなフレーバーを楽しんでもらいたいために、冷却ろ過をおこなわないノンチルフィルターを採用しています。
香りは、宮城峡モルトで使用しているシェリー樽のフルーティーさとラム樽のカラメルのような甘い香りがします。
味わいは、完熟した果実のフルーティーとスパイシーさが組み合わさりボディ感のある味わいになっています。
宮城峡の蒸留所・歴史
宮城峡蒸留所は、余市蒸留所に次ぐニッカウヰスキーが製造している二番目の蒸留所です。
スタートしてから約30年後の1969年に宮城県に建てられました。
宮城県に建てた理由は、気候や水へのこだわりからです。
宮城峡蒸留所が建てられている気候は、東北地方の山あいで一年を通じて霧や靄(もや)がかかり、冬の間は雪も降る地域です。
この気候は、竹鶴政孝がスコットランドで修行した気候と似ており、宮城峡はスコットランドのローランド地方を意識して作られています。
また、蒸留所を作るにあたりこだわったのが良質な水の確保です。
竹鶴政孝は東北の地を巡った際に現在の場所に出会い、新川の水でブラックニッカの水割りを飲み、その水が決め手となったため現在の場所に宮城峡蒸留所を設立しました。
宮城峡に使われている仕込み水は、新川の伏流水で硬度が低くウィスキー作りに邪魔な成分がほとんど含まれていないのが特徴です。
また、宮城峡蒸留所の建設にあたり自然の地形や森林を最大限守り景観にも配慮する、伐採は最低電に留めて樹木を残す、電線はすべて地下に埋没する、本来の土地の起伏を活かして設計する、といったこだわりがありました。
これは、「自然を大切にしなければおいしいウィスキーは作れない」といった竹鶴政孝の自然への敬意からきています。
宮城峡の製造方法
宮城峡のポットスチルは、上向きのラインアームを持ち、胴体に丸い膨らみのあるバルジ型です。
胴体に丸み膨らみがあることで、軽やかでスムースな味わいが生まれます。
それに加え、宮城峡は蒸気を使ったスチーム間接蒸留を行っています。
低音の約130℃の蒸気でじっくりと蒸留させ、ポットスチルの内部に溜まった軽い蒸気だけが上昇していきます。
宮城峡は、スチームによる間接蒸留を行っています。
スチームによる間接蒸留を行うことで、宮城峡の華やかな香りとやわらかでスムースな味わいを作り上げています。
宮城峡好きにおすすめのウィスキー
宮城峡が好きな方におすすめのウィスキーを2本ご紹介します。
宮城峡蒸留所の設置場所のモデルとなったスコットランドのローランド地方と、竹鶴政孝が製造したボトルを基準に選びました。
どちらも風味が似ていて、飲みやすいウィスキーです。
オーヘントッシャン12年
オーヘントッシャン12年は、スコットランドのローランド地方を代表するシングルモルトウィスキーです。
ローランド地方の伝統である3回蒸留を行っているのが特徴で、3回蒸留を行うことで酒質が軽く穀物の香りが強くなる傾向があります。
オーヘントッシャン12年の味わいは、ライトな口あたりでスッキリとした味わいとなっています。
ナッツのよう甘くまろやかな香りと、アーモンドやキャラメルのような甘い味わいを感じます。
全体のバランスがよく飲みやすい一本です。
竹鶴ピュアモルト
ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝の名前を冠したボトルです。
やわらかい甘い香りとなめらかな口あたり、まろやかな味わいが特徴です。
キーモルトはシェリー樽熟成の余市、宮城峡モルト、リメード樽熟成の宮城峡モルトです。
リンゴのようなフレッシュな果実香、バニラのようなオークの甘くやわらかな樽の香りを感じます。
味わいは、バナナやオレンジのようなフルーティさ、ピートのコクがある味わいです。
余韻には、ビターチョコのような甘くほろ苦い余韻が続きます。
ストレートでの飲み方がおすすめです。
まとめ
宮城峡は、竹鶴政孝が設立した余市に次ぐ二番目のシングルモルトウィスキーです。
竹鶴政孝のこだわりがつまった華やかで軽やか、ほんのり甘い味わいはウィスキーに飲み慣れていない方にもおすすめです。
ぜひお試しください。