シングルトンは、スコットランドで製造されているシングルモルトウイスキーです。
グレンオード、オスロスク、ダフタウンとさまざまな種類のブランドがあるのが特徴です。
この記事では、シングルトンの味わいや特徴、歴史、製造方法などを紹介します。
記事の最後には、シングルトンが好きな方におすすめのウイスキーを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
シングルトンの特徴・概要
シングルトンは3種類のブランドがあり、それぞれのブランドは別の蒸溜所で製造されているのが特徴です。
「シングルトングレンオード」はグレンオード蒸溜所、「シングルトンオスロスク」はオスロスク蒸溜所、「シングルトンダフタウン」は、ダフタウン蒸溜所で製造されています。
そのため、同じシングルトンとはいえ蒸溜所の歴史や製造方法が異なります。
シングルトンの味・香りの特徴
シングルトンは、グレンオード、オスロスク、ダフタウンと蒸溜所が違うため風味も異なります。
グレンオードは、バニラやナッツ、アーモンドの甘みが特徴。
オスロスクは、柑橘系の酸味や甘さ。
ダフタウンは、オイリーな風味とフローラル系の香り。
シングルトンと同じ名前ではあるものの、風味が異なるので飲み比べて違いを楽しんでみてください。
シングルトンは地域別に作られている
先ほど、シングルトンにはいくつかのブランドがあり、それぞれの蒸溜所で製造されていると説明しました。
同じ名前のブランドではありますが、蒸溜所を分けているのには理由があります。
- シングルトングレンオード:アジア向け
- シングルトンオスロスク:アメリカ向け
- シングルトンダフタウン:欧州向け
上記のように、それぞれのブランドは地域別に作られており、これはディアジオオーナーであるディアジオ社によるマーケティング戦略によるものです。
地域別にその地域の特性にあったウイスキーを製造することで、売り上げを伸ばしています。
シングルトンのおすすめの飲み方はハイボール
シングルトンは、ハイボールでの飲み方がおすすめです。
シングルトンは、全体的に甘みやフルーティな風味が特徴となっており、炭酸を加えることでフルーティな風味が強くなります。
スモーキーさやピーティな風味が弱いため、ストレートやロックでも美味しく飲めてしまいますが、ウイスキーを飲み慣れていない方は、ハイボールから飲んでみてください。
シングルトンの種類
シングルトン オスロスク
シングルトン オスロスクは、2001年に終売となってしまったボトルです。
香りは、レーズンやドライイチジクの甘い香り。
味わいは、チョコレートやカラメルソースの甘いコクを感じます。
シングルトン ダフタウン12年
シングルトン ダフタウン12年は、2018年から日本で発売されたスタンダードボトルです。
ヨーロピアンオークのシェリー樽とアメリカンオークのバーボン樽で熟成をしています。
口に含むと、リンゴやブドウのフルーティな甘みと酸味が広がり、ナッツのオイリーな香りも感じます。
シングルトンのオーソドックスなタイプなため、まずはシングルトン ダフタウン12年からお試しください。
シングルトン ダフタウン18年
ヨーロピアンオークのシェリー樽とアメリカンオークのバーボン樽で熟成し、18年以上熟成した原酒を使用しています。
熟成年数がダフタウン12年より長いため、フルーティな風味がより芳醇になっているのを感じます。
また、余韻には果実系の皮の酸味やスパイシーな風味を感じ、飲みごたえのあるボトルとなっています。
シングルトン ダフタウン スペイカスケイド
シングルトン ダフタウン スペイカスケイドは、ノンエイジボトルとなっているため熟成年数は不明ですが、若さを感じないまろやかな風味となっています。
ビターチョコやラムレーズンの濃厚な甘みと酸味、苦み、ビスケットの芳醇さを感じられます。
ノンエイジながらダフタウン12年よりも、風味が豊かに感じます。
シングルトン ダフタウン サンレイ
シングルトン ダフタウン サンレイもノンエイジボトルで、バーボン樽で熟成した原酒のみを使用しています。
そのため、バーボン樽由来のバニラやはちみつ、カラメルといった甘みが全面に押し出されたボトルです。
バーボン好きや甘い風味が好きな方におすすめの一本です。
シングルトン グレンオード12年
シングルトン グレンオード12年は、ヨーロピアンオークのシェリー樽とアメリカンオークのバーボン樽で熟成しており、シングルトンダフタウン12年が発売されるまでのスタンダードボトルでした。
オレンジピールの酸味やバニラ、ラムレーズンの甘い風味を感じられ、チョコレート系の甘い風味が口の中に残ります。
いくつもの賞を受賞している優秀なボトルでもあります。
- IWSC(インターナショナル・ワールド・スピリッツ・コンペティション)2007でゴールド賞
- IWSC(インターナショナル・ワールド・スピリッツ・コンペティション)2008でシルバー賞
- ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)2008でゴールド賞
- IWSC(インターナショナル・ワールド・スピリッツ・コンペティション)2009でゴールド賞
- ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)2009でゴールド賞
シングルトン グレンオード14年
シングルトン グレンオード14年は、ディアジオ社のリミテッドリリース2018として発売された限定ボトルです。
ナッツのオイリーでモルティな香りを感じ、フルーティな風味やバニラ、カラメル、チョコレートの甘い風味。
モルティな風味とフルーティさが特徴的なボトルです。
シングルトン グレンオード18年
シングルトン グレンオード18年は、グレンオードシリーズの中で最上位のボトルです。
リンゴやいちごジャムといったフルーティで濃厚なコクのある香りで、風味はドライフルーツやチョコレートといった芳醇な甘み。
18年ものも、いくつかの賞を受賞しています。
- IWSC(インターナショナル・ワールド・スピリッツ・コンペティション)2007で最優秀賞
- IWSC(インターナショナル・ワールド・スピリッツ・コンペティション)2008でゴールド賞
- ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)2008でゴールド賞
シングルトン グレンデュラン12年
シングルトン グレンデュラン12年は、スペイサイドのグレンダラン蒸溜所で製造されているボトルで、アメリカ向けに販売されています。
また、グレンダラン蒸溜所は製造したほとんどの原酒がブレンデッド用に使われており、オールドパーのブレンドにも使われている事で有名です。
香りは、バニラの甘味や柑橘系の爽やかな風味が香り、風味も柑橘系のフレッシュな味わい、レーズンやバニラの甘みを感じます。
最後に、ダークチョコレートの苦みと甘みが残ります。
シングルトンが造られている蒸溜所は主に3つ
シングルトンはダフタウン蒸溜所、グレンオード蒸溜所、オスロスク蒸溜所で製造されているため、それぞれの蒸溜所の歴史について紹介していきます。
ダフタウン蒸溜所
ダフタウン蒸溜所は、1896年に創業しているため歴史は古いです。
1933年にアーサー・ベル&サンズ社によって買収され、製造された98%の原酒はブレンデッドウイスキーに使われていました。
また、ブレンデッドウイスキーで有名な「ベル」のキーモルトとしても使われています。
元々は食品工場だったのを改装して、蒸溜所にしました。
ダフタウン蒸溜所で製造されているシングルモルトは、シングルトンのみですが、以前は「花と動物」シリーズの15年ものやレアモルトが製造されていました。
グレンオード蒸溜所
グレンオード蒸溜所は、1838年にトーマス・マッケンジーによって設立されているためダフタウン蒸溜所よりも歴史は長いです。
その後、オード・ディスティラリー・カンパニーが蒸溜所を買い取るも、1847年に破産し1855年に創設者の親戚であるアレグサンダー・マクレナンとトーマス・マクレガーが買い取ります。
再びマッケンジー家の元に蒸溜所は戻り、設備を新設しますがすぐに焼失します。
蒸溜所を所有していたアレグサンダー・マッケンジーが亡くなると、ジェームズ・ワトソン&サンに売却されます。
1985年からは、ディアジオ社の傘下になり2002年に12年熟成のウイスキーが発売されます。
2006年にブランド名を現在の「ザ・シングルトン・オブ・グレンオード」に変更し、アジア圏を中心に販売をしています。
オスロスク蒸溜所
オスロスク蒸溜所は1974年に設立された比較的新しい蒸溜所になります。
この蒸溜所で製造されている原酒のほとんどが、ブレンデッドウイスキーのJ&Bに使われています。
1978年にシングルモルトを生産し販売しますが、オスロスクはスコットランド語で他の国の人にとっては発音がしにくいという問題がありました。
それで、1986年に現在の「ザ・シングルトン」になりましたが、1997年にオーナーが変わったためシングルトンというブランドはなくなりました。
シングルトンの製法
製法もそれぞれで異なるため、それぞれの蒸溜所での製造方法を紹介していきます。
ダフタウン蒸溜所
ダフタウン蒸溜所で使われている仕込み水は、コンバルヒル丘にあるジョックの井戸水が使われており、ステンレス製の発酵槽が12基、初留器4基、再留器4基のポットスチルを設備しています。
基本的には、ヨーロピアンオークのシェリー樽とアメリカンオークのバーボン樽で熟成をしています。
グレンオード蒸溜所
グレンオード蒸溜所で使われている大麦は、地元で収穫したブラックアイル産を使っており、生産地から直接届きます。
2008年までは、ピーテッドモルトも使用していましたが、現在ではノンピーテッドモルトのみとなっています。
蒸溜器のある建物は新旧の2つに分かれており、全部で22槽もあるウォッシュバックのうちの8槽は古い建物、残りの14槽は新しい建物。
蒸溜器は古い建物に初留・再留3基の合計6基、新しい建物に初留・再留4基の合計8基が設置されています。
貯蔵庫も非常に大きく5棟のダンネージ式の貯蔵庫がありすべて2階建てとなっています。
蒸溜所自体が大きいため、年間の生産量は約900万ℓです。
オスロスク蒸溜所
オスロスク蒸溜所で使われている仕込み水は、ドリーの井戸の泉です。
ドリーの井戸の泉はウイスキーの仕込み水に最適な軟水であったため、この仕込み水を確保するために近くに蒸溜所を建設されたと言われています。
熟成には、シェリー樽とバーボン樽が使われており、それぞれの樽で熟成させた原酒を掛け合わせて2年間後熟させています。
現在は、オスロスク蒸溜所からシングルトンは販売されていません。
シングルトン好きにおすすめのウイスキー
シングルトンが好きな方におすすめのウイスキーを2本紹介します。
シングルトンの「甘い風味やフルーティな風味」を基準に選びました。
グレンギリー15年 シェリーカスク
グレンギリーは、スコットランドのハイランド地方で製造されているシングルモルトウイスキーです。
ダークベリーやドライフルーツの濃厚でフルーティな香りとバニラの甘い香り、味わいは甘さが強くフルーティな風味も感じられます。
クラガンモア12年
クラガンモアは、スコットランドのスペイサイドで製造されているシングルモルトウイスキーです。
クレイモア、オールドパー、ジョニーウォーカーといった有名なブレンデッドウイスキーのキーモルトとしても使われています。
リンゴやナシのフルーティな香りとはちみつやリンゴ、洋ナシの甘くフルーティな風味を堪能できます。
クセがなく飲みやすいボトルです。
まとめ
シングルトンは、3つの蒸溜所で製造されているシングルモルトウイスキーです。
3つのブランドが存在し、香りや味わいもそれぞれ異なります。
ぜひ、それぞれの蒸溜所で製造されたシングルトンを飲み比べて風味の違いを楽しんでみてください。