カリラは、スコットランド産のシングルモルトウイスキーです。
「ウイスキーの聖地」と呼ばれるアイラ島で作られています。
アイラモルトらしいスモーキーフレーバーとフルーティーさのバランスの良さが特徴です。
また、飲み口はふわっと軽めで、個性派揃いのアイラモルトの中では比較的飲みやすいとされています。
シングルモルトとしてだけではなく、ジョニーウォーカーのキーモルトとしても知られている銘柄です。
カリラの特徴・概要
名前の由来は「アイラ海峡」
カリラは、ゲール語で「アイラ海峡」を意味します。
「Caol」が海峡、「Ila」がアイラ島で、アイラ島とジュラ島の間にある海峡のことです。
この奥まった入り江に、カリラ蒸留所は建っています。
アイラ島の中でもっとも多い生産量
カリラ蒸留所の年間生産量は、約660万リットルを誇ります。
これはアイラ島で生産されているウイスキーの中で最も多い生産量です。
ところが、シングルモルトウイスキーとして評価され始めたのは2002年と、歴史はそれほど深くありません。
なぜなら、カリラ蒸留所で作られる原酒は、長年そのほとんどをブレンデッドウイスキーの原酒として提供してきたからです。
シングルモルトとしてリリースされることは非常に稀なことでした。
2002年にディアジオ社の「ヒドゥン・モルト・シリーズ」として、12年・18年・カスクストレングスの3種類が発売され、今もなおウイスキーファンから高い評価を得ています。
カリラのおすすめの飲み方は「ストレート」
カリラのおすすめの飲み方はストレートです。
貴重なアイラ島のシングルモルトですので、独特のスモーク感やピート香をストレートで存分にお楽しみ下さい。
また、加水することにより、スパイシーさが抑えられてフルーティーな甘みが際立つので、水割りやトワイスアップでストレートと飲み比べてみても面白いです。
カリラの種類
ウイスキーの基本的な飲み進め方は、同じ銘柄で異なる年代の種類を飲み比べていきます。
(縦飲み、垂直飲みといいます。)
理由としては、同じ銘柄であれば味やテイストの傾向が共通しており、比べたときにより違いがわかりやすいため自分の好みに合った年代を見つけやすいからです。
カリラ 12年
カリラ12年は、現在のラインナップにおいて、レギュラーボトル的な立ち位置のボトルです。
魅力は何と言っても、バランスの良さです。
アイラモルト特有のスモーク感・ピート香・ヨード臭が効いていますが「強烈」と言うほどではなく、ふわっと香る程度で奥からフルーティーさがやって来ます。
ほんのりと塩気もあります。
味わいは胡椒のようなスパイシーさが際立っていますが、甘みも感じられ、すっきりと軽やかな飲み口です。
ピーティーさとフルーティーさ、重厚かつ上品、こうしたバランスが絶妙であるため、個性が強いアイラモルトの中でも比較的飲みやすく、アイラ入門にぴったりな1本となっています。
カリラ 18年
カリラ18年は、かつては定番商品として販売されていたものの、現在は年に1度、数量限定でリリースされるのみの希少なボトルです。
12年と比べると、ピート香が控えめになっており、フルーティーさと甘みがより引き立っています。
味わいもよりまろやかです。
トフィー・バタースコッチ・ドライフルーツを思わせるやや強い甘みに、ほんのりスパイシーさが漂います。
フィニッシュは甘くスモーキーで、バニラの印象が強いです。
カリラ 25年
カリラ25年は、2010年に限定リリースされたボトルです。
25年熟成の希少な原酒を使用しています。
香りは実にフルーティーで、アイラらしいピート香やスモーク感はあまり感じられません。
口に含むと上品な味わいで、ほどよい果実感にビターテイストが重なり、ほんのりと潮っぽさが追いかけてきます。
全体的に、スタンダードな12年に甘みとコクが加わったような印象です。
また、長期熟成モノのシングルモルトでありながら比較的リーズナブルな価格で入手できるので、コストパフォーマンスの良い1本としても知られています。
カリラ モッホ
カリラ モッホの「モッホ」とはゲール語で「夜明け」という意味です。
年数表記なしのノンエイジですが、大体8年ほど熟成させた原酒を使っていると言われています。
スモーキーでドライな味わいが特徴で、レギュラーボトルの12年に比べると甘さ控えめですっきりと軽めのボディです。
香りは軽やかなピートと麦の甘みに、レモンが漂います。
味わいはカリラらしくスパイシーで、酸味と柑橘も感じられます。
フルーティーな爽やかさとスモーキーさがバランス良く混じり合うハイボールがオススメです。
カリラ カスクストレングス
カリラカスクストレングスは、名前の通り樽出しの原酒をそのまま瓶詰めしたボトルです。
そのため、アルコール度数は約61%でピート香はかなり強烈、カリラらしい力強さを味わえる1本となっています。
味わいも甘さから始まるものの、やはり非常にピーティーで煙たさが広がり、そのあとにライトな酸味と塩味が追いかけてきます。
そして、余韻は深いオークと潮風を感じさせる磯の香りです。
「力強い」、「パワフル」といった言葉がぴったりの1本に仕上がっています。
カリラ ディスティラーズエディション
カリラ ディスティラーズエディションは、ディアジオ社のディスティラーズエディションとしてリリースされているボトルです。
通常のバーボン樽で熟成させた後、モスカテルシェリー樽でカスクフィニッシュされています。
スタンダードな12年のスパイシーさが大人しくなっており、穏やかで優しい印象です。
また、上品なスモーキーフレーバーと、カリラの塩気にシェリーの甘みが加わった絶妙な味わいが特徴です。
カリラ10年 アイラフェス2018
アイラフェスとは毎年アイラ島で開催されているウイスキーのイベントのことで、10年はそのアイラフェスの2018年用に作られたボトルです。
香りは鋭いピートに、アプリコット、バニラ、麦芽の甘み、潮風といったニュアンスが感じられます。
やや若い原酒の影響か、非常にスパイシーな味わいで、強いピートとキレがあります。
アイラらしい磯っぽさ・潮っぽさがしっかりしているのも魅力です。
カリラ17年 アンピーティッド
カリラ17年 アンピーティッドは1997年に蒸留され、17年間熟成。その後、2015年にボトリングされ、限定販売を開始しました。
原料はピート処理をされていないモルトを使用しているのが特徴です。アルコール度は55.9度と高めで、これは加水をせずにカスクストレングスだからです。
色合いは光り輝くゴールドカラーで、口の中に入れると爽やかなフルーティな香りとともにかすかにスモーキーさを感じることができます。
市場に出回る本数が少ない上に人気のため、入手困難なウィスキーです。
カリラ蒸留所と歴史
カリラ蒸留所の創業は1846年です。
ローランドのリトルミル蒸留所の元経営者ヘクター・ヘンダーソンが蒸留所を設立しました。
1854年にはノーマン・ブキャナンが蒸留所の所有者となり、1863年にはバロック・レイド社が蒸留所を買収します。
その後、1920年代にDCL(ディスティラーズ・カンパニー・リミテッド)社の傘下となりますが、第二次世界大戦の影響により1941年〜1945年の間、操業を停止しました。
再稼働ののち、1972年~1974年には大改築が行われ、熟成庫を除くすべての施設が建て直されます。
ポットスチルが6基に増やされたのもこの時です。
1986年、DCL社がギネスに買収され、1997年にはギネスがグランド・メトロポリタンと合併してディアジオ社が誕生すると、その傘下となり現在に至ります。
カリラは創業が1846年と歴史あるブランドですが、長いことブレンデッドウイスキーの製造のために原酒を提供してきたため、シングルモルトウイスキーは全くと言っていいほどリリースしてきませんでした。
それほどメジャーでもなかったカリラというブランドが一躍注目を浴びたのは、2002年に「ヒドゥン・モルト・シリーズ」として12年・18年・カスクストレングスの3種類を発売したことがきっかけです。
当時、アイラモルトが世界的なブームになっていたこともあり、カリラのシングルモルトウイスキーはたちまち大人気となりました。
シングルモルトとしての歴史は浅いですが、今やカリラはアイラを代表するウイスキーの1つとなっています。
カリラの製法
カリラの製法で最も独特かつ特徴的な点は、冷却水に海水を利用していることです。
これは、数あるシングルモルトウイスキーの蒸留所においてもカリラだけが採用している珍しい冷却方法と言われています。
大麦はポートエレンで収穫されたものを使用し、伝統的なフロアモルティングはカリラでは行っていません。
仕込み水は蒸留所近くのナムバン湖の湧水です。
この湖は非常にピート色の濃い湖であることから、水そのものにもピート感が含まれます。
また、1970年代前半の大改築の際には、建物やスチルをオリジナルの設計図に忠実に再現したとされており、カリラがいかに独自の製法や品質にこだわっているかが分かります。
カリラ好きにおすすめウイスキー
カリラの特徴は、アイラらしいピーティーさとフルーティーさ、軽やかさのバランスの良さにあります。
同じく、バランス良くピート香や軽やかさ・まろやかさを味わえる銘柄を紹介します。
ボウモア
ボウモアは、カリラ同様に飲みやすいアイラモルトです。
アイラらしさがありつつもやわらかなスモーク感、潮の香りとフルーティーさの調和が楽しめます。
カネマラ
カネマラは、アイルランド産のシングルモルトウイスキーです。
他のアイリッシュウイスキーと違い、ピートを焚いて乾燥させた麦芽=ピーテッドモルトを使用しているため、非常にスモーキーであり「アイリッシュウイスキーの異端児」とも呼ばれています。
しかし、ただスモーキーなだけでなく、アイリッシュらしさも併せ持っているので、カリラのようにスモーキーかつ甘くフルーティーな味わいとなっています。
オールドバランデュラン
オールドバランデュランは、スペイサイド地方のシングルモルトウイスキーです。
華やかでフルーティーな香りが特徴のスペイサイドモルトの中でも、かなりピーティーで、アイラ好きにオススメされることも多い銘柄です。
まとめ
カリラというウイスキーについて詳しくなれたのではないでしょうか?
個性的ではありますが、軽やかな飲み口のカリラはアイラ入門に最適です。
いつもと違う、通好みなウイスキーでまったり家飲みをしてみたくなったら、ぜひカリラを手に取ってみて下さい。