エドラダワーはクリーミーでとナッツのような香ばしい甘みが特徴の、口当たりの良いウイスキーとして人気です。
エドラダワーの生産量は年間9万ℓと少ないですが、さまざまな種類の樽を使って多様性のある味わいを表現しています。
今回はエドラダワーの種類や味わい、おすすめの飲み方をご紹介します。
エドラダワーとは
エドラダワーは、スコットランドの南ハイランド地方で造られるシングルモルトウイスキーです。
エドラダワー蒸留所はスコットランドでもっとも規模の小さい蒸溜所として有名で、創業は古く1825年の由緒正しき蒸留所です。
エドラダワーとは、蒸溜所のそばを流れる「エドレッドの小川」または「2つの小川の間」といった意味があります。
エドラダワーの味・香りの特徴
エドラダワーの特徴は乳酸飲料のような味わいと、石鹸や香水のようなアロマが特徴です。
ねっとりと甘いやわらかな舌触りで、後味にアーモンドのようなナッツの風味が残ります。
オレンジやレーズン、チョコレートのようなアロマの奥にウッディーな優しい甘い香りが口の中に広がります。
シェリー樽熟成の芳醇な香りが広がるエドラダワーは、ライトボディで食事時に飲みやすいスコッチウイスキーです。
少量生産のシングルモルト
エドラダワーは、スコットランドの南ハイランド州にあるピトロッホリーという町にある、エドラダワー蒸留所で造られます。
エドラダワー蒸留所はスコットランドで最も小さい蒸留所として有名ですが、もともと地元の農夫が共同でこの蒸留所を作ったからです。
エドラダワーの生産部門は3人しからず、ウイスキー造りの全ての工程を3人で行います。
そのため、一週間でわずか14樽(250ℓ)しか造ることができません。
これは他の蒸留所が一週間かけて造る量ですが、エドラダワーは1年かけて造ります。
年間生産量9万ℓと業界最小ですが、見学者や観光者は年間10万人でスコッチ業界最多です。
エドラダワー蒸溜所は、白塗りの外壁と真っ赤なドアが特徴的なとてもかわいらしい建物です。
実は、ピトロッホリーの町は夏目漱石がロンドン留学に留学していた1902年に訪れた地でもあります。
エドラダワーのおすすめの飲み方は「ストレート」
エドラダワーのおすすめの飲み方は、ストレートです。
エドラダワーの濃厚でフルーティな、シェリー樽熟成特有の芳醇な香りが1番分かりやすく楽しめるからです。
ストレートが苦手な方はウイスキー:水=1:1で割って飲んでも、香りを楽しめるのでおすすめです。
ストレートだと強すぎて苦手という方は、爽快感と喉越しを味わえるロックやハイボールの飲み方もありますが、香りの広がりが抑えられてしまいます。
シェリー樽熟成のエドラダワーは、冷やすと鉄分のような苦味が出てしまうので、やはりストレートがおすすめです。
エドラダワーの種類
エドラダワーには、バーボン樽やシェリー樽、ボルドー樽やシャルドネ樽などの様々な種類の樽を使用したボトルが数多くラインナップされています。
クラシックレンジ
クラシックレンジとはスタンダードボトルのことで、手に入れやすいシリーズです。
エドラダワー 10年
エドラダワーのスタンダードモデルである「エドラダワー 10年」は、クリーミーという言葉がよく似合います。
カルピスのような乳酸飲料のような味わいと、石鹸のようなフラグレランス香の風味が個性的です。
味わいはトロっと甘く、オレンジのような柑橘類の爽やかさの後に続き、スニッカーズのようにミルキーです。
エドラダワー 10年 アンチルフィルタード
エドラダワーの「アン・チルフィルタード・コレクション」のひとつで、シグナトリー社がエドラダワー蒸留所を買収した後のオフィシャルボトル第一弾です。
香りはオレンジやプラムのような濃厚さを感じます。
味わいは、エドラダワーらしいクリーミーさと、オレンジやプラムのような濃厚なでなめらかな口当たりです。
こちらは、スタンダード品よりすこしビターです。
エドラダワー カレドニア12年
こちらは「エドラダワー 10年」にくらべると、風味がリッチで力強いのが特徴です。
酒齢10年以上のモルト酒をオロロソシェリー樽に移し替え、最低42ヶ月熟成させたボトルです。
香りはレーズンやシナモンを感じられます。
味わいは、カカオチョコやラムレーズン、ベイクドオレンジの後に、ミントやユーカリのハーブを感じるのが特徴です。
エドラダワーのミルキーさに、フルーティさとスパイシーさが加わったレベルの高いボトルです。
カスクストレングス
エドラダワーの非常に強い風味を直接味わえるのが、このカスクストレングスです。
エドラダワー シェリーバット10年
エドラダワーの「ストレート・フロム・ザ・カスク」シリーズのひとつです。
こちらのシリーズは総じて濃縮感があり、「シェリーバット10年」は中でもトップクラスで、10年熟成させたシングルカスクのボトルです。
エドラダワーのシェリー樽特有である、プラムやミルクチョコレートのまったりとした味わいが詰まっています。
エドラダワー イビスコデキャンタ シェリーマチュアード カスクストレングス
エドラダワーの濃厚なシェリー樽熟成の風味を味わいたい方におすすめなのが、カスクストレングスでボトリングされたイビスコデキャンタシリーズです。
エドラダワーのクリーミーさに、もったりしとした濃いシェリー感が加わっています。
香りは強いシェリーに、プラムやキャラメルのクリーミーさも感じられます。
味わいはエドラダワーの特徴であるクリーミーさに加え、シェリーの強い余韻があとに続きます。
エドラダワー イビスコデキャンタ バーボンマチュアード カスクストレングス
「エドラダワー イビスコデキャンタ バーボンマチュア―ド カスクストレングス」は、イビスコデキャンタにボトリングされた鮮やかな黄金色が印象的なボトルです。
“何も足さず、何も引かず、樽のままを味わってほしい”というエドラダワーの思いから、カスクストレングスでボトリングされたいます。
2003年ヴィンテージの7年熟成のため、口当たりはやや固めですが徐々にエドラダワーのミルキーさの中にフルーティーと蜂蜜そしてバニラのアロマが広がります。
とても7年熟成の若いウイスキーとは思えない仕上がりです。
ワイン樽フィニッシュ
赤色が特徴的なワインカスクフィニッシュは、味わいに重厚感が加わったエドラダワーの真骨頂です。
エドラダワー バーガンディー カスク フィニッシュ
エドラダワーの「ストレート・フロム・ザ・カスク」シリーズのひとつで、ボルドー赤ワイン樽でフィニッシュしたボトルです。
加水をせずにボトリングしているので、エドラダワー本来の豊かな風味を味わえる1本です。
エドラダワーのクリーミーな口当たりにラムレーズンやオレンジピールと、ややビターなチョコの味わいです。
香りは、カカオやプラムの濃厚さとハーブのスパイスがあとに続きます。
エドラダワー シャルドネ カスク フィニッシュ
こちらもエドラダワーの「ストレート・フロム・ザ・カスク」シリーズのひとつです。
バーボン樽で熟成した原酒をシャルドネの樽でフィニッシュして、カスクストレングスでボトリングした1本です。
白ワインであるシャルドネ樽特有の、フルーティでスイートな味わいが特徴のボトルです。
香りはバニラやグレープフルーツのような、甘くてスイートです。
味わいはハニーアーモンドの香ばしさと甘さのなかに、レモンピールやグレープフルーツの爽やかさと、ハーブのスパイシーな余韻があとに続きます。
エドラダワー シャルドネ カスク マチュアード
「エドラダワーのシャルドネカスクマチュアード」は、白ワイン品種の女王と称されているシャルドネワインの樽を使って13年熟成したボトルです。
シャルドネのニュートラルなブドウ品種のフレーバーがエドラダワーのウイスキーに融合することで、リンゴ・レモン・ライムなどのシャープですっきりした味わい、トロピカルフルーツやパイナップルのようなコクが加わり、濃厚な味わいを楽しめます。
このボトルも、カスクストレングスでボトリングされているためアルコール度数が53と高めです。
エドラダワー マディラ カスク フィニッシュ
「エドラダワー マディラ・カスク・フィニッシュ」は、マディラ樽で12年熟成したボトルです。
酒精強化のワイン造りに使われていたマディラ樽を後熟で利用することで、エドラダワーの定番であるクリーミーさに季節の果実を含む様々な風味が加わっています。
アンズや夏のチェリーなどのジューシーなフルーツの風味やバニラなどの印象も加わり、よりまろやかでフレッシュな香味に仕上がっています。
このボトルは、ノンチルフィルターとノンカラーリングそしてカスクストレングスにより、樽のままの状態で味わうことができます。
エドラダワー ポートカスク マチュアード
「エドラダワー ポートカスクマチュアード」は、ポートワインの樽を使用したボトルです。
両者の違いは、ポート・カスク・フィニッシではポートワイン樽をフィニッシュのみで使用していますが、ポートカスクマチュア―ドは13年の長期熟成にポートワイン樽を使っていることです。
このため、エドラダワーのウイスキーにポートワインの樽からにじみ出るフレーバーが多く融合しています。
味わいは、ややオイリーな赤ワインでラズベリーやオークのフレーバーを感じながらスモーキーな面も見え隠れします。
エドラダワー ポートカスク フィニッシュ
「エドラダワー ポート・カスク・フィニッシュ」は、ポルトガルの宝石と呼ばれるポートワインの樽を使ったボトルです。
ポートワイン自体が、単一のブドウ品種ではなく色々な品種を混合しているため、様々な風味がウイスキーに加わっています。
しかし、ワイン独特のタンニンの渋みは余りなく、果実感と甘みが増したことで口当たりが良いウイスキーに仕上がっています。
このポート・カスク・フィニッシュも、樽の中の状態を再現するためにカスクストレングスでボトリングされています。
エドラダワー ソーテルヌカスク フィニッシュ
「エドラダワー ソーテルヌ・カスク・フィニッシュ」は、フィニッシュにソーテルヌ樽を使用したボトルです。
白ワインにおける3大貴腐ワインの1つといわれるソーテルヌ樽を使用することで、同じワインでも赤ワイン樽とは違う風味がウイスキーに加わります。
レモンやオレンジそしてライムなどの柑橘系の風味とハチミツの甘さが、エドラダワーのウイスキーと融合することで、よりリッチな味わいとなっています。
そして、それらをそのまま樽から消費者に届けたい思いからカスクストレングスしています。
エドラダワーの歴史
エドラダワーの創業1825年ですが、蒸留所の建設が始まったのは1837年です。
1933年までは農業協同組合のもとで運営されていましたが、同年、ウイスキー・ブレンダーのウィリアム・ホワイトリー氏によって買収されます。
ホワイトリー氏はビジネスマンでしたが、アメリカマフィアのフランク・コステロ氏と契約を結び、大量のスコッチウイスキーを売りさばいていました。
1938年にホワイトリー氏が引退した後は、アメリカ人のアーヴィン・レイム氏がオーナーとなりますが、今度はマフィアのカステロ氏と繋がりを持ちウイスキーを売っていました。
現在は、ボトラーズ会社のシグナトリー社が2002年からオーナーとなっています。
エドラダワーの製造方法
エドラダワーの製造には、ワンバッチ1トンの麦芽を使用しています。
ボトラーズであるシグナトリー社のネットワークを活かし、様々な樽を取り寄せ、製造に使用しているのが特徴です。
エドラダワーの製造で使う機械は、100年近く使われていたり最小サイズのものを使用しているのが特徴です。
1回の仕込みで6000ℓ麦汁を抽出しますが、この時に使う糖化槽は1900年製で100年以上前から使われています。
さらに、モートン式ワンツークーラー(空冷冷却装置)は1934年製、現役で使用されています。
蒸溜に使用するポットスチルはスコットランドで最小の1800ℓのスチルで、関税当局が認める最小サイズです。
エドラダワーの製造で使用される熟成樽
エドラダワーの製造で使用される熟成樽は、オーナーでボトラーズであるシグナトリー社のネットワークを活かして、各地から取り寄せた様々な樽を使っているのが特徴です。
エドラダワーをはじめ、シグナトリー社は様々なウイスキーを製造し市場に投入しています。
エドラダワー好きにおすすめのウイスキー
エドラダワーが造られている南ハイランド地区のウイスキーは、口当たりが軽めで、飲みやすい銘柄が多く見られるのが特徴です。
グレンゴイン10年
エドラダワー蒸留所のある南ハイランド地区を代表する銘柄に、「グレンゴイン」があります。
柑橘類の芳醇な香りと、フルーティーな味わいが特徴のクセの少ない銘柄なので、エドラダワー好きにおすすめです。
香りは、オークやリンゴの芳醇でフルーティです。
味わいは甘くて優しく、のどごしがまろやかで余計なクセがないので飲みやすいです。
アバフェルディ12年
エドラダワーのようなクリーミーさを感じられ、全体的におとなしくて優しい甘みなのでおすすめです。
滑らかな口当たりと、ハチミツのような優しくて甘みが特徴です。
香りはハチミツの甘さと、青リンゴやオレンジピールの柑橘系の爽やかさを感じられます。
味わいはハチミツとフルーティな青リンゴ、後にローストしたナッツのビターが口に広がります。
まとめ
エドラダワーは、程よいシェリー香のモルトとして人気が高い銘柄です。
さらにエドラダワー蒸留所では、さまざまな種類の熟成樽を使っているのでラインナップが数多くあり、それぞれに特徴があります。
ぜひ「クリーミー」と言われるエドラダワー特有の甘いフレーバーと、熟成樽特有の味わいを堪能してください。