カバランは、台湾にあるカバラン蒸留所で作られているシングルモルト・ウイスキーです。
この記事では、カバランの味わいや香りの特徴、歴史や製造方法などを紹介します。
おすすめの飲み方や種類ごとの特徴を掲載しているほか、記事の最後にはカバランがお好きな方におすすめのウイスキーの提案なども行っています。
是非ウイスキー選びの参考にしてみてください。
カバランの特徴・概要
カバランは、台湾にある金車グループが所有する「カバラン蒸留所」から製造・販売されているシングルモルト・ウイスキーです。
カバランは2008年に販売開始された比較的新しいブランドですが、世界中のウイスキーコンペティションにて次々と栄誉ある賞を受賞しています。
現在ウイスキー市場においては大きな脚光を浴びつつある新銘柄のひとつとなっています。
味の特徴
カバランはマンゴーを彷彿とさせる南国感あるフルーティーな甘さが特徴のウイスキーです。
ハチミツや洋ナシ、ココナッツのような甘さも感じられます。
香りの特徴
カバランはトロピカルフルーツやココナッツを思わせる、南国感のある香りが特徴のウイスキーです。
胡蝶蘭のようなフローラルでエレガントな香りもあり、口にウイスキーを含むとうっとりするような花の香りと南国感あるフルーツ香が絶妙に重なり合います。
喉ごし・フィニッシュの特徴
カバランは早熟でありながら、アルコール感の少ないまろやかでクリーミーな喉ごしが特徴のウイスキーです。
余韻はやや長く、熟成に使用した樽特有の香りや味わいがゆったりと続きます。
カバランのおすすめの飲み方は「ハイボール」「ストレート」
カバランのおすすめの飲み方は「ハイボール」「ストレート」です。
南国感あふれるフルーツ香を楽しみたいなら「ハイボール」
カバラン特有のトロピカルフルーツ香を存分に楽しみたい方には「ハイボール」がおすすめです。
カバランをハイボールにすると南国感あるフルーツ香がさらに花開き、爽やかな味わいを楽しむことができます。
カスクストレングスである「ソリストシリーズ」を味わうなら「ストレート」
カバランのカスクストレングスモデルである「ソリストシリーズ」を堪能したい方には「ストレート」がおすすめです。
カバランは高温下での短期熟成が行われているウイスキーであるため、その味わいは熟成に使われた樽の影響を大きく受けています。
それぞれの熟成樽特有の旨味や香りなどの豊かな個性を楽しむには、やはりウイスキーの原液をそのまま味わうストレートが最適だといえます。
カバランの種類
現在主に販売されているカバランはスタンダード5種・ソリストシリーズ9種・その他3種の合計17種です。
カバランのスタンダード品5種
ここではカバランのスタンダード品を5種紹介しています。
カバラン クラシック
「カバラン クラシック」はバーボン・シェリー・プレーンオ―クなどの樽で熟成した原酒をヴァッティングした、最もスタンダードなボトルです。
ランやマンゴーフルーツを彷彿とさせる華やかな香りと蜜の甘さ、すっきりした口当たりが楽しめます。
カバラン コンサートマスター
「カバラン コンサートマスター」はポルトガル産ポートカスクで熟成した原酒を使用したボトルです。
マシュマロを彷彿とさせるコク深く蜜のように甘い風味と、イチゴのような優しいフルーツ香が楽しめます。
カバラン エクスバーボンオーク
「カバラン エクスバーボンオーク」は「カバラン ソリストバーボンオーク」を天然水でアルコール度数46%に調整したボトルです。
トロピカルなフルーツやココナッツの香味と、樽由来の甘いバニラやオークの香りなどが感じられます。
口当たりはとてもまろやかでアルコール特有の刺激も少ないため、非常に飲みやすいウイスキーです。
カバラン オロロソシェリーオーク
「カバラン オロロソシェリーオーク」は「カバラン ソリスト オロロソシェリー カスク」を天然水でアルコール度数46%に調整したボトルです。
シェリー樽特有の芳醇な甘みと複雑に絡み合うドライフルーツやナッツの香ばしさ、上品なコーヒーの香りが楽しめます。
カバラン ポディウム
「カバラン ポディウム」はアメリカンオーク新樽とリフィル樽でそれぞれ熟成した原酒をヴァッティングしたボトルです。
フローラルな花の香りと蜜の甘さ、フルーツなどの香味が複雑に絡み合っています。
滑らかできめ細かい飲み心地で、余韻は長くさっぱりとしています。
カバランソリストシリーズ9種
ここではカバランのカスクストレングス系である「カバランソリストシリーズ」を紹介しています。
現在販売されているカバランソリストシリーズは9種です。
カバラン ソリスト EXバーボンカスク
「カバラン ソリスト EXバーボンカスク」は香りの強いアメリカンオーク樽で熟成した原酒のみを使用した、まろやかな口当たりのボトルです。
フレッシュなトロピカルフルーツの甘い香りと、オーク樽特有のバニラ香やウッディ感が楽しめます。
カバラン ソリスト オロロソシェリーカスク
「カバラン ソリスト オロロソシェリー カスク」はスペイン産最上級オロロソシェリー樽で熟成した原酒のみを使った、芳醇なフルーツ香が特徴のボトルです。
ナッツやドライフルーツ、香辛料などの香りが濃厚かつ複雑に絡み合った、コクのある豊かな香味が楽しめます。
カバランソリスト フィノシェリーカスク
「カバランソリスト フィノシェリーカスク」は最高級フィノシェリー樽で熟成した原酒のみを使用した、シェリー香とトロピカルフルーツの重厚な味わいが堪能できる人気ボトルです。
余韻はスモーキーで心地良く、トフィーやチョコレートの甘さがほんのり香ります。
カバラン ソリスト ヴィーニョカスクストレングス
「カバラン ソリスト ヴィーニョカスクストレングス」は焼き入れをした最高級ワイン樽で熟成した原酒のみを使ったボトルです。
ワイン樽由来のまろやかで芳醇な風味や口当たりに加え、バランスの良いフルーツとオークの香りのハーモニーが楽しめます。
カバラン ソリスト ブランデーカスク
「カバラン ソリスト ブランデーカスク」はフランス産ブランデー樽で熟成した原酒のみを使用した、様々なフルーツ香が楽しめるボトルです。
口当たりはまろやかで余韻は長く、優雅なフルーツ香をゆっくりと楽しめます。
カバラン ソリスト ポート カスクストレングス
「カバラン ソリスト ポート カスクストレングス」はポルトガル産ポートワイン樽で熟成した原酒のみを使用した、濃厚なコクのある味わいを堪能できるボトルです。
ポートワイン樽特有のウッディな味わいやフルーツの甘さ、濃厚なナッツチョコレートのような甘みが堪能できます。
カバラン ソリスト アモンティリャードシェリー カスク
「カバラン ソリスト アモンティリャードシェリーカスク」は希少なアモンティリャードシェリー樽で熟成した原酒のみを使用した、濃厚でスパイシーなナッツ香が楽しめる甘さ控えめのボトルです。
フルーツに甘めのナッツを織り交ぜたような複雑な味わいがあり、余韻には胡椒をかけたナッツのような香ばしさが長く続きます。
カバラン ソリスト マンサニージャシェリーカスク
「カバラン ソリスト マンサニージャシェリー カスク」はマンサニージャシェリー樽で熟成した原酒のみを使用した、軽い口当たりと潮の香りが楽しめる甘さ控えめのボトルです。
メロンやリンゴ、砂糖入りココアのような甘さにミントや潮風のようなニュアンスが加わっており、味わいは非常に複雑です。
カバラン ソリスト PXシェリーカスク
「カバラン ソリスト PXシェリーカスク」は「シェリーの王様」と称されるPXシェリー樽で熟成した原酒のみを使用したボトルです。
ジューシーなブドウの香味にローズマリーやレモングラスのようや爽やかさが加わっており、濃厚で芳醇なアロマは飲む人を魅了します。
余韻には淡いキャラメルのような甘さが現れ、心地よく口の中に広がります。
カバラン ソリスト モスカテルシェリーカスク
「カバラン ソリスト モスカテルシェリーカスク」は長年熟成させたモスカテルシェリー樽で熟成した原酒のみを使用した、豊かな甘い香りが特徴のボトルです。
口に含むと花の蜜やドライフルーツ、甘いクリームやチョコレートのようなニュアンスが口の中で何層にも広がります。
その他のカバラン3種
ここでは「カバラン クラシック」の廉価モデルに当たる「チーフブレンダーセレクトシリーズ」1種と、蒸留所限定モデル2種の、合計3種のカバランを紹介しています。
カバラン ディスティラリーセレクト
「カバラン ディスティラリーセレクト」は風味や香りはそのままにしつつも値段を下げた、カバランの廉価モデルです。
カバラン特有のトロピカルフルーツのような香味とバランスのとれた味わいを、お買い得な値段で楽しむことができます。
カバラン ピーティーカスク(蒸留所限定品)
「カバラン ピーティーカスク」はピート感のある原酒を使用した特別なボトルです。
スモークの香りにカバランの原酒特有のトロピカルフルーツ香が絶妙にマッチした、甘く芳醇で複雑な味わいが楽しめます。
蒸留所限定発売であるため、現在日本での入手は困難です。
カバラン ラムカスク(蒸留所限定品)
「カバラン ラムカスク」は、ラム酒樽で熟成した原酒のみを使用した、濃厚なシロップのような口当たりが特徴のボトルです。
アーモンドとバニラクリームをトッピングした焼き立てのカステラのような甘いニュアンスや新鮮なレモンの香り、香辛料のスパイス感など様々な香味が複雑に絡み合っています。
蒸留所限定発売であるため、現在日本での入手は困難です。
カバラン蒸留所の歴史
カバラン蒸留所を創立したのは、台湾の飲料メーカー「金車グループ」の「ティエンツァイ・リー」会長です。
リー会長はスコットランドのウイスキー開発者「ジム・スワン」氏の指示を仰ぎながら蒸留所の創立計画を進め、2005年にカバラン蒸留所を完成させます。
2006年1月からはいよいよ試作ウイスキーの開発に乗り出しますが、この際問題となったのはウイスキー作りに向かない台湾の熱い気候です。
台湾は亜熱帯地域に属しており、5月~10月にかけては38℃を超える猛暑日が続きます。
ウイスキーは寒冷地などで時間をかけてゆっくり熟成を行い、作るものであるという考えが当たり前の業界関係者からは「台湾の暑い気候ではウイスキー作りはできない」という批判の声が相次ぎました。
しかし金車グループとジム・スワン氏は、暑さという不利な条件を「熟成が早く進む」というアドバンテージに昇華します。
こうした紆余曲折を経て、2008年に金車グループは初のカバランである「カバラン クラシック」を出荷するに至りました。
その後カバランは2010年1月にスコットランドのエディンバラで開催された、ウイスキーのブラインド・テイスティング・イベントにて、他のウイスキーと大差を付けて優勝を果たしました。
このことをきっかけに世界中からカバランは注目されるようになり、次々と有名なウイスキーの国際品評会にて栄誉ある賞を受賞しました。
現在カバラン蒸留所は900万リットルを超える出荷量を誇る世界のトップ・ディスティラリーへと成長し、ウイスキー業界での更なる飛躍を続けています。
カバランの製法
カバランは英国から仕入れた麦芽を原料にして作られているシングルモルト・ウイスキーです。
輸入した麦芽は自社所有のモルトミルで粉砕し、ステンレス製の糖化槽で8~12時間発酵させます。
糖化にかける時間は最先端のコンピューターで管理されているため、温暖な気候にある台湾の蒸留所内でも原料が発酵しすぎることはありません。
発酵には金車グループが独自に培養した、台湾の野生酵母を使います。
この野生酵母で発酵させた麦芽ジュースは、独特のトロピカルフルーツのような甘いニュアンスを持つもろみへと変化するのです。
発酵後のもろみはポットスチルで蒸留され、バーボン・各種シェリー・ワインなどの樽にて熟成されます。
気温の高い台湾では冷涼地と比較して非常に早く発酵が進むため、カバラン蒸留所では樽ごとにモニタリングを徹底し、出荷のピークを迎えた樽からボトリングを行います。
マスターブレンダーをはじめとする蒸留所職員の徹底した品質管理によって、上質な味わいを持つカバランは作られているのです。
カバラン好きにおすすめウイスキー
ここではカバランがお好きな方におすすめのウイスキーを3つ紹介します。
カバランと似た甘くトロピカルフルーツ感があるウイスキーをお探しの際には、是非参考にしてみてください。
サントリーウイスキー 知多
カバランのような南国感あるフルーツ香を楽しめるジャパニーズ・グレーンウイスキーをお探しの方には「サントリーウイスキー 知多」がおすすめです。
薄めたハチミツのような甘みと焦げた樽のような香ばしさがあり、余韻にはマンゴーやパイナップルのようなフルーティーな甘さが爽やかに香ります。
ブラックニッカ ブレンダーズスピリット
カバランをハイボールで愛飲している方には、ハイボールにするとトロピカルなフルーツ香が花開く「ブラックニッカ ブレンダーズスピリット」がおすすめです。
このウイスキーをハイボールにすると、軽いピート香とゴムの香りが先行したあとに乾燥バナナやマンゴーを彷彿とさせる濃厚で甘い香りが現れます。
総じて甘く飲みやすいウイスキーで非常に人気が高いため、現在は価格が高騰し入手が困難になっています。
ベンリアック20年
「カバラン 蒸留所限定品ピーティーカスク」のような、ピート香とトロピカルフルーツの甘みが混在するウイスキーをお探しの方には「ベンリアック20年」がおすすめです。
トロピカルなフルーツ香とクリーミーな口当たりと、後から出てくるフルーティーでピーティーな余韻のバランスが非常に良いウイスキーです。
まとめ
この記事では台湾の「金車グループ」が所有する「カバラン蒸留所」で製造されている、カバランを紹介しました。
トロピカルなフルーツを彷彿とさせる甘い香りとクリーミーな喉ごしが特徴の、このウイスキーが気になった方は是非ご賞味されてみてください。