キルケランは、グレンガイル蒸留所で生産されているシングルモルトウイスキーです。
この記事では、キルケランの味わいや特徴、歴史や製造方法などを紹介します。
記事の最後には、キルケランが好きな方におすすめなウイスキーも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
キルケランの特徴・概要
キルケランはグレンガイル蒸留所で製造されています。
そのグレンガイル蒸留所は2004年に稼働をはじめ、キャンベルタウンに新しく蒸留所が建設されたのは125年ぶりです。
また、グレンガイル蒸留所はスプリングバンク蒸留所のオーナーによって再建されたため、スプリングバンクとは姉妹関係にあり、年に1か月ほどスプリングバンク蒸留所の職人によってキルケランは蒸留されています。
味・香りの特徴
キルケランは、キャンベルタウン特有の海風のような塩気のあるピーティーな香りやレモンやライムのフルーティな香りを感じます。
味わいは、海風を伴ったはちみつの風味、メロンやキャラメルといった甘くまろやかな甘み、そしてスパイシーでスモーキーな余韻です。
生産量は年間で3万ℓと少ないですが、複雑な味わいとバランスの整った風味となっています。
衰退していったキャンベルタウン
キルケランを製造しているグレンガイル蒸留所は、スコットランドのキャンベルタウンに建設されています。
キャンベルタウンはかつて30を超える蒸留所が存在し、ハイランド地方に次ぐ規模でした。
キャンベルタウンに蒸留所が多かった理由は、ウイスキーの原料となる大麦やピートの生産地だった、水源の確保ができた、アメリカやグレスゴーへの出荷として最適な港があった、といった好条件が重なったからです。
しかし、第一次世界大戦による増税、禁酒法の導入、質より量を求めた粗悪なウイスキーの製造、鉄道の開通による輸送手段の変化、などの理由により蒸留所が次々と閉鎖していきました。
現在は、スプリングバンク蒸留所、グレンスコシア蒸留所、そして2004年に再稼働したグレンガイル蒸留所の3つだけとなっています。
キルケランのおすすめの飲み方はストレート・水割り・ソーダ割
キルケランのおすすめの飲み方は、ストレートや水割り、ソーダ割です。
ストレートで飲むと、ウイスキー本来の海風をまとった塩気のあるピーティーな香りやフルーティな香り、甘さやスパイシーでスモーキーなフレーバーとバランスのいい風味を楽しめます。
少し加水をした水割りだと、コクのある甘味が際立ちます。
ソーダ割にすると、酸味が強くなりピーティーな風味を特に感じます。
さまざまな飲み方で楽しめるのがキルケランの特徴でもあるので、自分にあった飲み方を探すのも楽しみ方の一つです。
キルケランの種類
キルケランの種類には、「Work in Progress=進行中、未完成品」という名前のシリーズが2009年から2015年までリリースされていました。
毎年1回リリースされ、第1弾から第7弾まであります。
そして、そのひとつの完成形としてキルケラン12年がリリースされました。
「ワークインプログレス」シリーズは既に生産と販売が終了していますが、一部のシリーズはネットでの購入が可能です。
キルケラン8年 カスクストレングス
キルケラン8年 カスクストレングスは、2004年にオープンした「ミッチェルズ・グレンガイル蒸留所」で生産されたシングルモルトウイスキーです。
ミッチェルズ・グレンガイル蒸留所は、1925年に閉鎖されたキルケラン蒸留所と同じ敷地内に建てられ、キャンベルタウンに新しい蒸留所が建てれられたのは125年ぶりです。
バーボン樽で8年熟成されたカスクストレングスなため、アルコール度数は55.7%と高くなっています。
香りは、ほのかに香るピート香やスポンジケーキ、バニラ、クリームの甘いアロマ、グリーンアップルのフルーティの香り。
味わいは、粉砂糖やミルクチョコの甘い味わいに、土っぽさと塩気、フィニッシュはスモーキーな味わいとなっています。
9000本限定でリリースされ、日本では390本のみ販売されています。
販売本数が少ない貴重なボトルなため、見かけたら手に入れておきたいボトルです。
キルケラン8年 オロロソシェリーカスク
キルケラン8年オロロソシェリーは、オロロソシェリー樽で8年熟成させたカスクストレングスタイプ。
世界で15000本リリースされています。
香りは、スモーキーなベーコンやオイリーな生ハムのような香りから始まり、ドライフルーツ、ピーティーでスモーキーな香りへと変化していきます。
味わいは、完熟チェリーの酸味と芳醇な甘み、ダークチョコレートの甘苦い味わいが続きます。
余韻は、バターを塗ったパンのような甘い風味、エスプレッソの苦みやピーティでスモーキー。
キルケラン12年
キルケラン12年は、バーボン樽70%とシェリー樽30%の比率で熟成しています。
香りは、海風の潮気やバニラの甘い風味、次第にライムやレモンのフレッシュな香りを感じます。酸味や甘み、フルーティな香りを感じるアロマです。
味わいは、メロンやはちみつのまろやかで甘い風味やほろ苦い甘み。とろりとしたまろやかな口あたりで、ピーティーでスモーキーな風味も感じます。
甘さやスモーキーな風味、塩気のバランスの取れた味わいとなっています。
キルケラン15年 オロロソシェリーカスク
キルケラン15年はオロロソシェリー樽で15年熟成され、2019年にボトリングされました。
日本限定のシングルモルトで、リフィルバーボンホグスヘッドで5年間熟成した後に、オロロソシェリー樽で10年後熟しています。
香りは、塩気のあるスモーキーな香りが特徴で、ダークチョコレートのような甘さと苦さのある香りが強く、レーズンやドライフルーツのフルーティなの香りを感じます。
味わいは、チョコレートの甘みやスモーキーな風味、甘いスパイス、ビターな風味を感じ、ほろ苦い甘い風味が口に広がります。
余韻は、穏やかなスモークやミルキーなダークチョコレートの風味です。
キルケラン ヘビリーピーテッド バッチ1
キルケラン ヘビリーピーテッド バッチ1は、84ppmのヘビリーピーテッド麦芽を使用した「ピート・イン・プログレス」シリーズの第1弾です。
年に1回しかリリースされない限定ボトルです。
香りは、土っぽいスモークの香りの中にパイナップルや木苺の甘酸っぱいフルーティな香りを感じます。
アルコール度数59.3%と度数は高いですが、柔らかい口あたりです。洋ナシやレモンオイルの風味を感じ、ゴールデンシロップの濃厚な甘みがします。
余韻は、最後までスモーキーな味わいや度数の高さを感じるオイリーな風味。
キルケラン ヘビリーピーテッド バッチ2
キルケラン ヘビリーピーテッド バッチ2は、84pmのヘビリーピーテッド麦芽を使用した「ピート・イン・プログレス」シリーズの第2弾です。
熟成にはバーボン樽とシェリー樽で熟成しています。
香りは、スモーキーな潮風やはちみつシナモンのような甘く華やかな香り、コーヒーのような苦い風味。
味わいは、塩キャラメルのような甘さと塩気の風味、アップルパイやドライフルーツのような熟した甘み。
バッチ1のフルーティな香りは奥に引っ込み、味わいに厚みが増しています。
キルケランの蒸留所・歴史
キルケランは2004年に復活し、グレンガイル蒸留所で製造されています。
蒸留所はスコットランドのキャンベルタウンにあり、かつては30以上の蒸留所があった竹鶴政孝が修行をした地でもあります。
しかし、禁酒法や密輸により質の悪いウイスキーを大量に輸出していことにより、評判が悪くなりました。
そのため、蒸留所の数が次第に減っていき1934年にはスプリングバンク蒸留所とグレンコシアの2箇所だけになりました。
グレンガイル蒸留所は1872年に、スプリングバンクを経営するミッチェル一族のウィリアム・ミッチェルによって創業した歴史のある蒸留所でした。
しかし、1925年に閉鎖され残っていた原酒はすべてオークション等で売られてしまいました。
2004年には、スプリングバンクのオーナーによりグレンガイル蒸留所が建てれました。
グレンガイル蒸留所はスプリングバンク蒸留所のオーナーによって復活したため、姉妹蒸留所となりました。
そのため、グレンガイル蒸留所で製造されているキルケランは、スプリングバンクと同じライトピート麦芽、同じ仕込み水を使用しています。
年間の生産量はわずか3万ℓで、年に1か月だけスプリングバンク蒸留所の職人によって蒸留されています。
キルケランの製法
キルケランに使われている麦芽や仕込み水は、スプリングバンク蒸留所と同じものを使用しています。
蒸留はスプリングバンクが2回半に対し、キルケランは通常の2回蒸留です。
ポットスチルは2基設置していますが、ベンウィヴィス蒸留所の中古品を使用しています。
麦芽や仕込み水はスプリングバンクと全く同じものを使用していますが、ポットスチルやモルトミルは違うものを使用しているため、違う風味となっています。
キルケラン好きにおすすめのウイスキー
キルケランが好きな方におすすめなウイスキーを紹介します。
キルケランの「塩気のあるピーティーな香り」や「フルーティな風味」を基準に選びました。
どんな飲み方でも楽しめるので、自分好みの飲み方を探してみてください。
スプリングバンク10年
スプリングバンク10年は、「モルトの香水」と称されるほど、香り高いのが特徴です。
香りは洋ナシやバニラの甘くフレッシュな香りやフルーティな香りの後に、かすかにピート香を感じます。
味わいは、キャンベルタウン特有の塩辛いピリッとした塩気、はちみつやバニラの甘い風味、オイリーな味わい。
ストレート、トワイスアップ、水割りでの飲み方がおすすめです。
オールドプルトニー12年
オールドプルトニー12年は、スコットランド本島の北端の港町で作られているシングルモルトウイスキーです。
香りは、港町特有の潮風に乗った潮の香りや青リンゴ、バニラ、スパイシーな香りが特徴です。
味わいは、口あたりはオイリーで塩辛い辛口な風味です。しかし、バニラやはちみつといった甘みや洋ナシやレモンのフレッシュな味わいも感じます。
スプリングバンクよりも強烈な塩辛さを感じるため、スプリングバンクと飲み比べて飲むのも面白いです。
まとめ
キルケランはグレンガイル蒸留所で製造され、スプリングバンクと同じ原料と仕込み水を使用しているシングルモルトウイスキーです
塩気のあるピーティーな香りやフルーティな風味は、ストレート、水割り、ソーダ割とどんな飲み方にも合います。
ぜひ、スプリングバンクと飲み比べてみてください。