オールドプルトニーは、スコットランドで作られているシングルモルト・ウイスキーです。
この記事では、オールドプルトニーの味わいや香りの特徴、歴史や製造方法などを紹介します。
おすすめの飲み方や種類ごとの特徴を掲載しているほか、記事の最後にはオールドプルトニーがお好きな方におすすめのウイスキーの提案なども行っています。
是非ウイスキー選びの参考にしてみてください。
オールドプルトニーの特徴・概要
オールドプルトニーは、スコットランドにある「プルトニー蒸留所」で作られているシングルモルト・ウイスキーです。
海沿いに蒸留所が位置しているため、ハイランド地方で生産されるウイスキーでありながら、アイラウイスキーのような塩気がある独特の風味を有しています。
味の特徴
オールドプルトニーはレモンを絞ったバーベキューのようなスモーキーな旨味と、ハチミツやバニラクリームを彷彿とさせるほんのりした甘みが特徴の辛口ウイスキーです。
複雑で独特な風味はアイラ・モルトを彷彿とさせながらも、独自のブランド性がある味わいをもっています。
香りの特徴
オールドプルトニーはアイラ・モルトを彷彿とさせるうっすらとした潮の香りがあるウイスキーです。
青リンゴやスモークレモンなどのフルーティーさや、辛口ウイスキーならではのスパイシーなニュアンスも感じられます。
喉ごし・フィニッシュの特徴
オールドプルトニーはライトボディとオイリーな口当たりが特徴のウイスキーです。
オールドプルトニーのおすすめの飲み方は「ストレート」
オールドプルトニーはライトボディで非常に飲みやすいウイスキーであるため、「ストレート」で飲むことをおすすめします。
また、オールドプルトニーはアルコール度数が40%とウイスキーの中ではやや低めであるため、加水をすると味わいがすぐにぼやけてしまいます。
よって、オールドプルトニーをトワイスアップやハイボールで飲むことはおすすめできません。
オールドプルトニーの種類
現在販売されているオールドプルトニーは主に5種です。
なお、2012年のウイスキー・オブ・ザ・イヤーに選出された「オールドプルトニー21年」は現在種倍しており、古酒市場でも極めて入手困難なボトルとなっています。
そのためこのボトルを飲んでみたい方はウイスキー・バーなどのお店を訪ね、21年物の取り扱いがないか聞いてみることをおすすめします。
オールドプルトニー12年
「オールドプルトニー12年」は、最もスタンダードなオールドプルトニーのボトルです。
ほんのり香る潮風のような甘じょっぱい風味とスモーク香、青リンゴやレモンを彷彿とさせるフルーティーな香味がこのウイスキーでは堪能できます。
また、キリッとした辛口のフレーバーとオイリーな口当たりも、このウイスキーの特徴のひとつです。
オールドプルトニー15年
「オールドプルトニー15年」は、セカンドフィルアメリカンオークバーボン樽で15年熟成した原酒を、オロロソシェリー新樽で後熟させたボトルです。
ボディは12年物より厚く、リッチな仕上がりとなっています。
レーズンやリンゴ、シトラスなどのフルーツ香と、ハチミツをかけた甘じょっぱいバニラクリームのような味わいが特徴のウイスキーです。
オールドプルトニー18年
「オールドプルトニー18年」は、セカンドフィルバーボン樽で熟成した原酒を、スペイン産オロロソシェリー新樽で計18年以上熟成させたボトルです。
チョコレートとミルククリームを乗せた甘いレーズンパンケーキのような濃厚な香りと、洋ナシや柿を彷彿とさせるこってりしたフルーツの甘みが楽しめます。
シェリー樽由来の濃厚なフルーティーさと、オールドプルトニー特有のスパイシーな辛さが融合した、リッチな味わいのウイスキーです。
オールドプルトニー ハダート
「オールドプルトニー ハダート」はプルトニータウンと港を建設した偉大な船長であるハダード氏の名を冠したノンエイジ・ボトルです。
セカンドフィルバーボン樽で熟成した原酒を、ピーテッド・モルト原酒を入れていたバーボン樽で後熟させて作られています。
鼻を突き上げるような焦げたオークの煙たい香りが巻き起こる強烈なアタックと、ハチミツやオレンジ、ウエハースなどを織り交ぜた香ばしい甘みが堪能できます。
オールドプルトニー ノスヘッド
「オールドプルトニー ノスヘッド」はプルトニータウンの3つの灯台をパッケージにあしらった、免税店限定リリースのボトルです。
通常のオールドプルトニーと比較するとやや甘みが強く、パワフルな味わいに仕上がっっています。
オールドプルトニー蒸留所の歴史
19世紀初頭に、とある噂がスコットランド中に広まりました。
「樽に入った金と銀が、ウィックのプルトニータウンにはあるそうだ」
これはブリテン島最北端ウィックにある、プルトニータウンの繁栄を比喩しています。
銀は当時「シルバー・ダーリン」と呼ばれていた街でとれる名産のニシン、金はこの地に根付いていたウイスキーであるオールドプルトニーのことです。
スコットランドでは酒と仕事を求めて、プルトニータウンへと船での移住を進める人々が現れました。
これによりプルトニータウンは小さな漁師町から、7000人の漁業従事者と1000艘の船をもつ塩漬けニシンと酒の名所として発展を遂げることになります。
大きく繁栄を遂げたプルトニータウンでしたが、やがて1922年から発令された禁酒法の煽りを大きく受けてしまうことになります。
ニシンの漁獲やウイスキーの蒸留が止まってしまったプルトニータウンは、瞬く間に衰退し町は廃墟へと姿を変えました。
プルトニータウンにウイスキー文化が戻ってきたのはウィックの禁酒法が解けた1947年から4年後の、1951年のことでした。
禁酒法ですっかり衰退してしまったプルトニータウンですが、幸運にもそのウイスキー文化を復活させる立役者が現れます。
それが1955年に新たなオーナーとなった「インバー・ハウス・ディスティラーズ」です。
インバー・ハウス・ディスティラーズは「オールドプルトニー12年」を発売してプルトニータウンのウイスキーを世界にPRし、売り上げの向上を図りました。
これをきっかけに、プルトニータウンの蒸留所は再び潤いを取り戻し始めます。
さらに現オーナーである「インターナショナル・ビバレッジ社」に所有権が移ったのちに、オールドプルトニーは高名なウイスキーライターである「ジム・マレー」氏の心を射止めることに成功します。
これによって「オールドプルトニー21年」は2012年のウイスキー・オブ・ザ・イヤーに選出されることとなり、そのブランド名は全世界に知れ渡ることになりました。
様々な苦難を乗り越えたプルトニータウンの蒸留所は、今では年間160万リットルのウイスキーを潤沢に生産しています。
オールドプルトニーによって活気を取り戻したプルトニータウンでは、ニシン漁に次ぐ新たな産業として吹きガラス工芸品の輸出もはじまりました。
これらはウイスキー文化と共に、プルトニータウンの新たな主産業として根付いていくことでしょう。
オールドプルトニーの製法
オールドプルトニーは、大麦モルトとウィック南部に流れるヤーロー湖の水を使って作られるシングルモルト・ウイスキーです。
糖化の際に通常3回しか注ぎ込まないお湯を4回投入し、鉄製の発酵槽で発酵を行ったあと、独特のT字シェイプ型スチルで蒸留を行う独自の製法をとっています。
この変わったスチルの造形や糖化槽でのお湯の注入回数が多いことが、オールドプルトニーの独特の風味に大きくかかわっているのではないかとまことしやかに囁かれています。
蒸留された原酒は主にオーク樽で熟成され、潮風の当たるプルトニータウンで出荷の時を待ちます。
海岸通りという立地に蒸留所が位置しているためか、出来上がったウイスキーにはほのかな潮の香りやアイラ・モルトとは異なるピート感、オイリーな喉ごしが添加されている傾向にあります。
オールドプルトニー好きにおすすめウイスキー
ここではオールドプルトニーがお好きな方におすすめのウイスキーを3つ紹介します。
オールドプルトニーと似た傾向のウイスキーをお探しの際には、是非参考にしてみてください。
ジュラ12年
甘じょっぱいバニラのような味わいのあるオールドプルトニーがお好きな方には、「ジュラ12年」もおすすめです。
シェリー樽由来のフルーツ香と潮気のあるバニラの甘じょっぱさ、フローラルな香りを伴ったほのかなピート香がこのウイスキーでは堪能できます。
スプリングバンク15年
塩バニラの風味が香るオールドプルトニーのようなウイスキーをお探しの方には「スプリングバンク15年」もおすすめです。
レーズンやイチジクの甘みと塩気があるバニラの甘じょっぱさに、ナッツの香ばしい余韻がマッチした凝縮感ある贅沢な風味が楽しめます。
ラフロイグ1815 レガシーエディション
レーズンを思わせるフルーティーで濃厚な甘さと、甘じょっぱい塩バニラの旨味を堪能できるオールドプルトニー18年のようなウイスキーをお探しの方には「ラフロイグ1815 レガシーエディション」がおすすめです。
焦げたオーク香とレーズンや塩バニラの甘み、ビターなフィニッシュがこのウイスキーでは堪能できます。
まとめ
この記事ではスコットランドのウィックにあるプルトニータウンの「プルトニー蒸留所」から販売されている、オールドプルトニーを紹介しました。
塩バニラアイスを乗せたハニートーストを彷彿とさせる甘じょっぱさと、キレのある辛口な喉ごしが独特なこのウイスキーが気になった方は、是非ご賞味されてみてください。