ウイスキー銘柄

アードベッグの種類や味わい・おすすめの飲み方などを徹底解説

アードベッグは“ウイスキーの聖地”スコットランドのアイラ島で作られるシングルモルトウイスキーです。

個性派揃いで有名なアイラモルトですが、中でもアードベックの個性は別格。

口に含んだ瞬間に広がるスモーク・ピート香、磯臭さ、ヨード臭は「強烈」の一言です。

正露丸や薬品系とも例えられるそのフレーバーは、お世辞にも初心者向けとは言えません。

しかし「そのクセこそがウイスキーの真骨頂である」と、熱烈なファンがいるのも事実。

驚くほど強烈なクセの奥には、フルーティーでオイリーな甘みや贅沢な余韻が秘められています。

飲みやすさとはまた違う、こうした奥深さや繊細さを味わえるのがアードベッグの唯一無二の魅力なのです。

アードベッグの特徴・概要

アードベッグは「究極のアイラモルト」

スコットランドのアイラ島は「ウイスキーの聖地」と呼ばれており、クセの強いウイスキーが多いことで知られています。

アイラ島の蒸留所のほとんどが沿岸部にあることや、潮風にさらされた独特のピート、昔から変わらない伝統的な製法などがアイラらしさの源です。

そのアイラ島で生産されるウイスキーの中でも、アイラらしさが際立っているのがアードベッグ。

アードベッグは。アイラモルトの中でもっともスモーキーでピーティーであることから「究極のアイラモルト」と呼ばれています。

ウイスキーのスモーキーさは、フェノール値(ppm)を指標にして計られます。

以下はアードベックと他の代表的なアイラモルトウイスキーのフェノール値となります。

  • アードベッグ:55ppm
  • ラフロイグ:50ppm
  • ボウモア:20ppm

よく比較されるラフロイグが約50ppmで、比較的飲みやすいとされているアイラモルト・ボウモアが約20ppmであることから、アードベッグがいかにスモーキーであるかが分かります。

アードベッグの名前の由来は「小さな丘」

アードベッグとはゲール語で「小さな岬」もしくは「小さな丘」という意味です。

これは、蒸留所が建てられた場所に由来しています。

アードベッグのロゴはケルト十字の紋章をモチーフしたもの

一目で「アードベッグのA」だと分かるシンプルさに品格が漂うアードベッグのロゴ。

アルファベットのAを丸く鎖が囲っています。

この鎖は、蒸留所近くの教会跡地にあるケルト十字「キルダルトンクロス」の紋様をモチーフとしたもの。

鎖が絡み合う様は「永遠」の象徴であり、アードベッグがこの先もずっと続いていくようにとの思いが込められています。

熱狂的なファンのことを「アードベギャン」と呼ぶ

アードベッグの熱狂的なファンをこう呼びます。

そして、世界中のアードベギャンたちのために世界各国で開催されるイベントが「アードベッグ・デイ」です。

アードベッグ・デイは、アードベギャンが集い、アードベッグを祝い、乾杯する1年に1度のお祭り。

イベントのコンセプトは年ごとに変わり、開催日に合わせて発売される限定ボトルも毎年話題になります。

2019年のテーマは「Carnival (カーニバル)」。

日本では5月31日と6月1日に開催され、多くのアードベギャンが2019年限定ボトルの「アードベッグ ドラム」をいち早く味わいました。

アードベッグのおすすめの飲み方は「ストレート」

アードベッグは、スモーキーでクセの強いことが魅力です。

そのため、その香りや味わいがダイレクトに感じられるストレートで飲むことがおすすめです。

また、加水によっても香りが開くため、ウイスキーと同僚の水で割るトゥワイスアップで飲むのもおすすめです。

ストレートやトゥワイスアップのほかにも、ハイボールでの相性も良いことで知られています。

ハイボールの場合は、ソーダの飲みやすさと合わせて強烈なクセも感じられるため、すっきりとした味わいが愉しめます。

アードベッグの種類

ウイスキーの基本的な飲み進め方は、同じ銘柄で異なる年代の種類を飲み比べていきます。
(縦飲み、垂直飲みといいます。)

理由としては、同じ銘柄であれば味やテイストの傾向が共通しており、比べたときにより違いがわかりやすいため自分の好みに合った年代を見つけやすいからです。

アードベッグ 10年


アードベッグ 10年は、「アードベッグ テン」とも呼ばれている、アードベッグ・シリーズのスタンダードなボトルです。

10年の表記の通り、ファーストフィルとセカンドフィルのバーボン樽で10年以上熟成させた原酒をヴァッティングしています。

口に含んだ瞬間のインパクトは、やはり強烈です。

煙たいほどのスモーク感、ピート香、磯臭さ、薬品っぽさ、そして46度という高めのアルコール度数の刺激も加わります。

しばらく味わっていても甘みはほとんど感じられません。

しかし、強烈なフレーバーの奥から、青リンゴや洋梨のような爽やかさと酸味がほんのりと追いかけてきます。

余韻もスモーキーで、長く芳醇。

砕いたピートや麦芽の甘みが僅かに残ります。

「強烈さ」と「爽やかさ・甘み」という二面性を楽しめるウイスキーであると言えるでしょう。

アードベッグ ウーガダール


アードベッグ ウーガダールは、仕込み水を採水している湖の名前をそのまま冠したボトルです。

アルコール度数は54.2度とかなり高めとなっています。

他のシリーズでは使われていないシェリー樽由来の原酒をヴァッティングしている点が特徴的です。

アードベッグらしさにプラスされた、シェリー樽由来の甘さとスパイシーさ、爽やかさが際立ちます。

パンチのあるスモーク感のあとのフルーティーな甘みは、まさに「甘さとスモーキーさの絶妙なマリアージュ」と紹介されている通りの味わい。

甘みと酸味で多少、強烈さが抑えられているので、個性派のアードベッグのラインナップの中では、比較的飲みやすいとされています。

しかしアルコール度数は高いので、飲み過ぎには気をつけてください。

アードベッグ コリーヴレッカン


アードベッグコリーヴレッカンは、フレンチオークの新樽で熟成させた原酒をヴァッティングしたボトルです。

コリーヴレッカンとは、アイラ島の近くのジュラ島とスカバ島の間にある海峡の名前で、その海峡は潮の流れが激しく、渦潮が現れることもあるそう。

そんな海峡の名前を冠したボトルですから、味わいはかなり激しく力強くスパイシー。

アルコール度数も57.1度とかなりのものですので、初心者には決してオススメできません。

強烈なスモーク香・ピート香にかすかに爽やかさも追いかけてきますが、とにかくスパイシーで激しいです。

舌がビリビリするほどの刺激、そしてそのあとにダークチョコレートやブラックコーヒーを思わせる贅沢な余韻が続きます。

2010年に、World's Best Single Malt Whisky受賞。

アードベッグ アン・オー


アードベッグ アン・オーは、バーボン樽、PX(ペドロ・ヒメネス)シェリー樽、新樽、それぞれの樽で熟成させた3種類の原酒をヴァッティングしたボトルです。

PXシェリー樽は甘みを、内側を焼いた新樽はスパイシーさをもたらすとされていて、アードベッグのラインナップの中では珍しく「まろやかさ」が特徴となっています。

アードベッグらしいスモーキーさとピート香を残しつつも、10年よりも甘め。

レーズン・バニラ・シロップといった甘みはクリーミー、かつ酸味もしっかりと感じられます。

まさに調和、ハーモニーという形容がぴったりな味わいです。

比較的ソフトなので、アードベッグ入門の一本としてオススメ。

アードベッグ ドラム

アードベッグ ドラムは、アードベギャンが心待ちにしている、アードベッグ・デイにあわせて毎年発表される限定ボトル。

2019年は「アードベッグ ドラム」がリリースされました。

バーボンカスクで熟成させた原酒を、ラムカスクで追加熟成。

これは、かつてアードベッグのマスター・ディスティラーだったハミッシュ・スコット氏が、ラムを生産する蒸留所でも働いていた経歴にちなんでいます。

パイナップルや完熟したバナナを思わせる複雑なアロマは、イベントのテーマ「カーニバル」のイメージそのまま。

通常のラインナップとはまた違う、トロピカルな味わいが楽しいです。

アードベッグの蒸留所・歴史

今では世界的に評価の高いウイスキーとして揺るぎない地位を誇るアードベッグですが、その歩みは平坦なものではありませんでした。

経営状態の悪化により幾度となくオーナーが変わり、ついには操業停止に追い込まれ、生産が完全にストップしていた時期もあります。

1815年、創業者のジョン・マクドーガルによって、蒸留所が建てられました。

これがアードベッグの始まりです。(ちなみに、密造酒時代に前身となる蒸留所が設立されていたため、1794年スタートとする説もあります)

その後、マクドーガル家による経営が150年ほど続きます。

1970年代、カナディアン・クラブで有名なハイラム・ウォーカーが蒸留所を買収。

しかし、傘下となったのも束の間、すぐにウイスキー不況の波が押し寄せてきました。

1981年3月、操業を停止。
1987年、アライド・ライオンズがハイラム・ウォーカーを買収。
1989年、操業を再開。
1996年、アライド・ライオンズが売却を決定、再び操業停止に。

1980年代~1990年代にかけて、アードベッグ蒸留所の生産はかなり不安定なもので、蒸留所自体も荒廃状態に陥っていました。

そこへ現れたのがグレンモーレンジィ社です。

1997年、約15億円でアードベッグ蒸留所を買収します。

そして操業を再開し、以後、生産が安定するようになりました。

2004年にはグレンモーレンジィ社がLVMHに買収され、LVMHがアードベッグの実質的オーナーとなります。

波乱万丈なアードベッグの歴史。

廃業寸前の状態から本格的な復活を遂げたのは確かにグレンモーレンジィ社のおかげではありますが、そこにはアードベッグを愛するファンの存在、何より、ウイスキー作りを諦めなかった職人たちの思いと涙ぐましい努力があったことを忘れてはいけません。

アードベッグの製法

アイラ島で作られるウイスキーには、島の自然が色濃く反映されているのですが、もちろんアードベッグにもアイラの恵みがぎゅっと詰め込まれています。

仕込み水はウーガダール湖の水を使用。

この湖の水はアイラ島のピート層を通ってきているので、うっすらと黒色。

仕込み水までもがピーティーゆえに、アードベッグ特有の濃厚なスモーキーさが生まれていることは間違いないでしょう。

そして、アードベッグの製法で特徴的なのが「ノンチルフィルタード」を採用していること。

「チルフィルタードしていない」という意味で、チルフィルタードとは冷却濾過のことを指します。

つまり、アードベッグは冷却濾過を施していません。

ウイスキーは樽から出したそのままの状態だと温度が低くなった時に、溶け込んでいた香味成分が飽和状態となって析出し、澱や沈殿物が現れ、白濁します。

これを防ぐために、一般的なウイスキー製品では、瓶詰めの前にあらかじめ冷却して濾過を行っています。

しかし、取り除かれる澱や沈殿物の元は、原酒や樽由来の香味成分です。

冷却濾過していないウイスキーにはこの成分が残っているとも言えます。

いわゆる、ウイスキーそのもののの旨み。

原酒本来の味わいを大切にしている、アードベッグならではのこだわりです。
※常温ではしっかりフィルタリングしていますので、安心して下さい。

アードベッグ好きにおすすめウイスキー

究極のアイラモルト、アードベッグ。

同じような個性派とブレンデッドウイスキーを紹介します。

ラフロイグ


「アイラの王」と呼ばれる、アイラモルトです。

アイラ島に王者として君臨するだけのことはあり、かなり力強く個性的。

アードベッグとラフロイグはしばしば同等に語られたり、比較されたりすることの多い、アイラモルトの代表格です。

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タリスカー


スコットランドのスカイ島で作られているシングルモルトです。

アイラモルトとはまた違う個性の強さで知られています。

スモーキーな香りは薬品系で、ほんのり塩辛く、舌がピリピリするほどスパイシーで刺激的。

海を感じるウイスキーという点が、アイラモルトと共通しています。

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バランタイン


バランタインはブレンデッドウイスキーですが、実はキーモルトにアードベッグが使われているのです。

とてもバランスの良いブレンデッドですので、味わいを楽しみつつ、アードベッグらしさを見つけてみるのはいかがでしょうか。

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まとめ

アードベッグというウイスキーについて詳しくなれたのではないでしょうか?

アードベッグは、人を選ぶウイスキーです。

しかし、ハマってしまえば、他のウイスキーでは物足りなくなるほど病みつきになってしまいます。

ぜひ、アードベギャンの仲間入りをしてみてください。

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