ラガヴーリンの種類や味わい・おすすめの飲み方などを徹底解説

ラガヴーリン

ラガヴーリンは、スコットランド産のシングルモルトウイスキーです。

ウイスキーの聖地であるアイラ島で作られており「アイラの巨人」と称賛されています。

極めてピーティーかつスモーキーな味わいと、潮の香り、ずっしりとした重厚感が特徴です。

正露丸とも例えられる独特のフレーバーは決して初心者向けとは言えませんが、ラガヴーリンならではの強烈な個性は世界中のウイスキーファンを魅了し続けています。

目次

ラガヴーリンの特徴・概要

ラガヴーリンとは村の名前で、ゲール語で「水車小屋のある窪地」を意味します。

蒸留所が建つその土地が、名前の由来です。

蒸留所の目の前にはラガヴーリン湾が広がっています。

アイラの巨人と称される

ラガヴーリンは「アイラの巨人」とも称されています。

1989年に出版されたジャクソン氏の著書「モルト・ウイスキーコンパニオン」の中で、ラガヴーリンを「アイラの巨人」、「まるでラプサンスーチョンのようにスモーキーである」と絶賛しました。

ラプサンスーチョンとは、イギリス人が好んで飲む、独特のスモーキーな香りが特徴の中国紅茶です。

ジャクソン氏はこれらの言葉とともに95点という最高点を付けたため、元々高まりつつあったラガヴーリンの人気にさらに拍車を掛けたと言われています。

ホワイトホースのキーモルトとして使われている

ラガヴーリンは、ブレンデッドウイスキー「ホワイトホース」のキーモルトとしても有名です。

ラガヴーリンとホワイトホースには、実は知る人ぞ知る深い縁があります。

ホワイトホースの生みの親であるピーター・マッキー氏と当時のラガヴーリン蒸留所のオーナーだったジェームズ・ローガン・マッキー氏が甥と叔父の関係にあり、その伝手からピーター氏がラガヴーリン蒸留所でウイスキー作りを学んだという縁です。

ピーター氏はラガヴーリン蒸留所をいたく気に入り、叔父亡き後には蒸留所の所長も務めました。

そして、独立後のオリジナルのブレンデッドウイスキーの開発に際して、縁の深いラガヴーリンをキーモルトとしたというエピソードが今に伝えられています。

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ラガヴーリンのおすすめの飲み方は「ストレート」

ラガヴーリンのおすすめの飲み方はストレートです。

ラガヴーリン特有の重厚で複雑、繊細な風味をストレートでじっくりとお楽しみ下さい。

また、もったいないと思われるかもしれませんが、ハイボールもオススメです。

いつもよりちょっとリッチな重めのハイボールを味わえます。

ラガヴーリンの種類

ウイスキーの基本的な飲み進め方は、同じ銘柄で異なる年代の種類を飲み比べていきます。
(縦飲み、垂直飲みといいます。)

理由としては、同じ銘柄であれば味やテイストの傾向が共通しており、比べたときにより違いがわかりやすいため自分の好みに合った年代を見つけやすいからです。

ラガヴーリン16年

ラガヴーリン 16年

ラガヴーリン 16年は、現在のラインナップにおいて、レギュラーボトル的な立ち位置のボトルです。

12年の典型的なアイラらしさは「アイラモルトの決定版」と評価されています。

香りは正露丸や薬品系とも例えられる特有のヨード香のインパクトが強く、極めてピーティーかつスモーキーです。

しかし、その強烈さの奥にバニラや花の蜜のような香りが漂います。

味わいも実にピーティー・スモーキーでドライ、ウッディな潮っぽさが続き、シェリー樽由来と思われる強い甘みも感じられます。

ずっしりと重厚感のある飲みごたえですが、長期熟成モノ特有の円熟味やまろやかさにより非常によくまとまっている印象です。

また、スタンダードなボトルで16年熟成というのはかなり珍しく、ラガヴーリンのウイスキー作りへの並々ならぬこだわりが伺えます。

何よりシングルモルトとしての完成度が高く、まさに傑作と言える1本です。

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ラガヴーリン8年

ラガヴーリン 8年

ラガヴーリン 8年は、蒸留所創立200周年を記念して2016年に限定リリースされたボトルでしたが、2018年からは定番商品となりました。

アルティメット スピリッツ チャレンジ(USC) 2018にて97点という高得点を獲得し、アイラシングルモルトスコッチウイスキー部門で最高賞のチェアマンズ・トロフィーを受賞しています。

香りはラガヴーリンらしいピート香とヨード香が強烈で、その中にほんのりとレモンの爽やかさ、ナッツの香ばしさが潜んでいます。

味わいは12年と比べるとフレッシュで、甘さ控えめです。

8年熟成の若い原酒を使っていたり、アルコール度数が48度だったりしていますが、アルコールの刺激は少なく、かなり穏やかな仕上がりとなっています。

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ラガヴーリン ディスティラーズエディション ダブルマチュアード

ラガヴーリン ディスティラーズエディション ダブルマチュアード

ディアジオ社のディスティラーズエディションとしてリリースされているボトルです。

ダブルマチュアードとは「異なる二種類(ダブル)の樽で熟成させた」という意味で、通常のバーボン樽で熟成させた後、ペドロヒメネスシェリーを貯蔵した樽でカスクフィニッシュされています。

香りはラガヴーリンらしさそのものですが、スタンダードな16年に比べて、強烈なヨード香・ピート香はやや控えめです。

味わいはペドロヒメネス由来のレーズンの濃厚な甘みが際立っています。

ダブルマチュアードという特別な製法によって、16年よりもコクが増している印象です。

余韻もスモーキーかつフルーティーで芳醇、オークの香りが長く尾を引きます。

ラガヴーリン12年 カスクストレングス

ラガヴーリン 12年 カスクストレングス

ラガヴーリン 12年 カスクストレングスは、名前の通り、樽出しの原酒をそのまま瓶詰めしたボトルです。

酒齢12年以上の希少な原酒を厳選して掛け合わせています。

カスクストレングスであるため、アルコール度数は55~58度とかなり高く、アルコールのインパクトがガツンと来ます。

香りは16年よりもフレッシュで、ラガヴーリンらしいスモークキーさや煙たさはあるものの、ほんのりフルーティーです。

ややスパイシーな味わいは、徐々に重厚感のあるドライでビターな味へと変化していきます。

16年というボトルの個性を強調したものとなっており、力強さが前面に押し出されている1本です。

ラガヴーリン21年

ラガヴーリン 21年

ラガヴーリン 21年は、6642本限定でリリースされたオフィシャルボトルです。

21年以上という長期熟成原酒の熟成感を心ゆくまで堪能できる1本となっています。

長期熟成から来る円熟味・まろやかさ・濃厚な甘みに、口当たりはどっしりとしたフルボディで圧倒されます。

ラガヴーリンの最大の魅力である重厚感を、さらに重く厚くした印象です。

独特の強いピート香もパンチがあり「まさに巨人」という味わいがより強調されています。

ラガヴーリン 21年
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ラガヴーリン25年

ラガヴーリン 25年

ラガヴーリン25年は、創業200周年を記念してリリースされた限定ボトルです。

シェリー樽のみで熟成し、カスクストレングスにてボトリングされています。

酒齢25年以上という希少な原酒を使用することにより、ラガヴーリンの特徴である強いピート香・スモーク感は穏やかになっていて、代わりに上品さと華やかさが際立っています。

オレンジやレーズンといった濃厚なフルーティーさと、シェリー由来のドライフルーツの甘みも特徴的です。

落ち着いたスモーキーフレーバーに磯っぽさ、コクのある味わいは複雑かつリッチです。

さらに、深く長く続くフィニッシュにも高級感が漂います。

ラガヴーリン 25年
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ラガヴーリンの歴史

ラガヴーリン 蒸留所

出典:mhdkk.com

ラガヴーリン蒸留所は1816年にアイラ島初の合法蒸留所として操業を開始しました。

創業者は農業経営者であり蒸留職人でもあったジョン・ジョンストン氏です。

彼が亡くなった後、蒸留所は何度かの買収を経て、1862年にジェームズ・ローガン・マッキー氏の手に渡ります。

ジェームズ氏はホワイトホースの生みの親であるピーター・マッキー氏の叔父でした。

ピーター氏は叔父の所有するラガヴーリン蒸留所でウイスキー作りを学び、叔父の死後は跡を継ぎ、のちにラガヴーリンをキーモルトとするブレンデッドウイスキー「ホワイトホース」を作り上げました。

1924年、ピーター氏が死去、社名がマッキー社からホワイト・ホース・ディスティラーズに変更されます。

1927年、DCL(ディスティラーズ・カンパニー・リミテッド)社により買収され、1986年にはそのDCL社をギネスが買収、1997年にギネスがグランド・メトロポリタンと合併してディアジオ社が誕生したため、現在はディアジオ社の傘下となっています。

第一次世界大戦によって一時閉鎖となったり、爆発によって多大な被害を受けたりしたラガヴーリン蒸留所ですが、その都度、困難を乗り越え立ち上がってきました。

そして1988年にはユナイテッド・ディスティラーズ社(現・ディアジオ社)のクラシックモルトシリーズにアイラモルト代表として選ばれます。

これを機にラガヴーリンの知名度はぐんと高まり、その名声を確固たるものとしました。

ラガヴーリンの製法

ラガヴーリン 製法

出典:mhdkk.com

ラガヴーリンでは自社によるフロアモルティングは行わず、ポートエレン製麦所にモルティングを依頼しています。

ラガヴーリン用の麦芽は、フェノール値34~38ppmのヘビリーピーテッド麦芽です。

仕込み水はソラン湖の湧水を使用しています。

この湖は非常にピート色の濃い湖であることから、水そのものにもピート感が含まれます。

また、特徴的なのがポットスチルの形状と蒸留にかける時間です。

ラガヴーリン蒸留所のポットスチルは玉ねぎ型で、ラインアームがかなりの急角度で取り付けられています。

蒸留は、初溜に5時間、再溜に10時間とアイラ島で最長の蒸留時間です。

こうした特徴の1つ1つが、唯一無二の重厚なラガヴーリンのキャラクターを作り上げています。

ラガヴーリン好きにおすすめウイスキー

「アイラの巨人」と称されるラガヴーリンは、エッジの効いたヨード香・ピート香と重厚感が魅力です。

アイラモルトの中でも「決定版」と言わしめる銘柄ですので、同様にアイラらしさを存分に楽しめるウイスキーを紹介します。

ラフロイグ

ラフロイグ10年

ラフロイグは、その強烈な個性と存在感から「アイラの王」と呼ばれるウイスキーです。

フェノール値は40ppm以上で、正露丸や磯臭さと例えられるヨード臭が極めて強く、正直人を選びます。

しかしラガヴーリンと同じく、そのクセこそが魅力であるため、世界中の通なウイスキーファンを虜にしています。

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アードベッグ

アードベッグ 10年

アードベッグは、フェノール値が55~65ppmと、アイラ島でも別格のスモーキーさを誇るウイスキーです。

ガツンと来る煙たさと磯臭いヨード臭は「強烈」の一言に尽きますが、その奥にフルーティーさや甘み、贅沢な余韻が潜んでおり、奥深さ・繊細さも併せ持っています。

ちなみに、ラガヴーリン・ラフロイグ・アードベッグはアイラ島の南端に3つ並んで建っていることから「キルダルトン3兄弟」と呼ばれていて、味わいを比較されることも多いです。

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カリラ

カリラ 12年

カリラはアイラ入門に最適とされているほど、アイラモルトの中では飲みやすいウイスキーです。

ピート香やヨード香、スモーク感もそれほどきつくはありません。

ラガヴーリンの重厚さとは対照的にライトな飲み口のカリラですが、実は両者は同じ麦芽と同じイースト菌を使用しています。

「同じ原料なのに全く違う味」というユニークな飲み比べがおすすめです。

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まとめ

ラガヴーリンというウイスキーについて詳しくなれたのではないでしょうか?

ラガヴーリンのずっしりとした重厚感は、まったりと家飲みタイムを楽しみたい時にぴったりです。

一度ハマったら病みつきになる、アイラの巨人のヘビーな魅力にぜひ触れてみて下さい。

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